2022年3月14日月曜日

ミソロジーが自然農耕文明を創った!

人口波動を生み出した、さまざまな文明の基盤にある時代識知について、構造的な視点から検討しています。

石器前波を創り出したディナミズム(dynamism:汎力説)、石器後波を生み出したアニミズム(Animism:汎霊説)に続き、今回は農業前波を生み出したミソロジー(Mythology:神話)を取り上げます。

ミソロジーと何かについては、さまざまな言説があります。それらを整理してみると、次の5つが指摘できます【ミソロジーとは何だろうか?】。

①環境世界を言語で理解する観念的装置

②元型・象徴で構成する文章・物語

③多様な現象を擬人化した主体群による複合的物語

④自然と人為の相互関係を表す識知

⑤自然現象を応用する人間活動の経緯

要約すれば、ミソロジーとは、擬人化と文章化によって、環境世界と人類の関係性を現そうとする、人間の英知ともいえるでしょう。

その意味では、ミソロジー(mythology)という時代識知は、広義でのリレーショナリズム(relationalism:万物関係観)というべきかもしれません。



このような特性を持つミソロジーが、自然農耕文明を造り上げた背景は、【リレーショナズム(万物関係観)が農耕・牧畜を促した!】で述べたように、次のように説明できます。

❶象徴能力で捉えた心像

人類が無意識次元で捉えた、さまざまな外部環境を、幾つかの “心像象徴”に形象化し、それらを連結させた「文章=神話」によって、集団的に共有した、無意識、心像、神話を特徴とする時代識知である。

❷心像共有化による集団化

特定の神話=文章を共有することで、個々人の次元を超えた人間集団を自覚させ、共同行動によって生活活動や生産活動へ向かわせることを可能にした。

❸継続的生産行動の定着化

人類が自然環境へ積極的に働きかけ、循環的な農耕定着的な牧畜などを継続的に行うことを可能にした。

以上のような3つの特性が絡まったため、ミソロジー=リレーショナズムは、自然系エネルギーをさまざまな要素間に循環させる自然農耕文明によって、農業前波を作り上げました。

とすれば、ミソロジーとは、石器前波を創り出した「ディナミズム(dynamism)=動体生命観」や石器後波を創り出した「インモータリズム(immortalism:造語)=生死超越観」を礎石としつつ、「リレーショナズム(relationalism)=万物関係観」によって人間集団と自然環境の関係を相関的に捉えることに成功し、農耕・牧畜という、継続的な生産形態によって農業前波を生み出した、ともいえるでしょう。

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