ポストコロナはいかなる時代になるのでしょうか?
700年前のポストペスト(黒死病)で始まった「ルネサンス」のように、再度のルネサンス、つまり「ル・ルネサンス」が始まるのではないか、と推測しています。
そこでまず、ル・ルネサンスの基本構造を展望しようと、前回までは世界の人口波動の推移に準拠しつつ、3大条件を探してきました。
それらをベースに、いよいよル・ルネサンスの時代像を展望しようと思いますが、その前にもう一度、この投稿の目指しているテーマを確かめておきましょう。
●人口容量の限界化!
現代の世界は今や人口容量の限界に達しているのではないか、という視点です。 人口容量とは「どれだけの人口が生きられるのか」を示す指標です。 先に述べたように【人口容量=(自然環境×文明)÷1人当たり生息水準】で決まってきますので、まずはいかなる文明で自然を活用しているか、が問われます。 この視点で人類の歴史が辿ってきた、5つの人口波動を振り返ってみると、石器前波では旧石器文明、石器後波では新石器文明、農業前波では粗放農業文明、農業後波では集約農業文明、工業現波では科学技術文明が、それぞれの人口容量を作り出してきたと思われます。 そして、過去の4つの波動では、容量の上限が近づくにつれ、いずれも人口抑制装置が作動して人口総量を抑え始め、ついには減少させています。 今回のコロナ禍にも、こうした背景が潜んでいるのではないでしょうか。 |
●パンデミックは社会変革の契機!
14世紀のペスト(黒死病)ショックは、農業後波の人口容量の限界を露呈させ、その後60~80年にわたって、人口を減少させただけでなく、それまでの中世社会の悪弊を根本から変えようとするルネサンスを生み出しました。 これを先例とすると、今回のコロナショックは工業現波の人口容量の限界を露呈させ、今後数十年にわたって、人口を減少させるだけでなく、これまでの近代社会の諸矛盾を根本から変えようとするル・ルネサンスを生み出す可能性があります。 |
●新たな目標を創り出す!
ルネサンスが再生させたのは、神格尊重と人間自立のバランス化だった、と思われます。 いいかえれば、一つ前の農業前波(BC3500~AD400年頃)の時代識知を見直すことで、限界に至った農業後波(AD400~1400年頃)の社会構造を突破する道を模索した、ともいえるでしょう。 とすれば、ル・ルネサンスが再生の目標としているのは、一つ前の農業後波の時代識知を見直すことで、限界に至った工業現波(AD1400~2070?年頃)の社会構造を突破する道を模索する運動、ということになるでしょう。 過去の4波動においては、前波と後波の間に「分散から統合へ」という流れがありますから、現在の工業現波を「工業前波」、次の波動を「工業後波」とすれば、前波の「分散」から後波の「統合」へ、という可能性が高まってくると思われます。 |
以上のように、ポストコロナの時代をル・ルネサンスとして活かしていくためには、形骸化する民主主義、格差拡大する経済制度、過剰分業・分散化する国際社会、そしてそれらの背後にある分断的科学技術など、現代社会のさまざまな諸矛盾を包括的に改革する、新たな時代識知の樹立をめざすことが期待されるのです。
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