今回は「霊魂」の、⑤超人間性、⑥超自然性、⑦霊的人格性の3つです。
この3つは、人間の特性として想定された「霊魂」を、人間以外の諸物へと大胆に展開してゆく論理を示しています。
⑤アニミズムは、人間の霊魂に類似する観念を、類推的に動植物や自然物など人間以外の諸存在にも押し広げ、広く認めるものである。
前回、提唱した【霊魂=主体(動体+意思)×(生前+死後)】のうち、主体を人間のみならず動植物や自然物などにまで拡大しています。
つまり、上記の数式の「主体」を次のように変えたのです。
霊魂=(人間+諸存在)×(動体+意思)×(生前+死後)
「識知」論的にいえば、人間とそれ以外の諸物をひとまず「分節化」し、そのうえで、改めて両者を「合節化」した視点、ともいえるでしょう。
⑥霊魂はさまざまな物に宿っている限り、それらを生かしているが、物が死滅した後も、それらを超えて独自に存在し続けるから「超自然的存在(super-natural beings)」とみなされる。
この特性は、上記の【霊魂=(人間+諸存在)×(動体+意思)×(生前+死後)】のうち、人間以外の諸物についても、(生前+死後)の項目を改めて確認するものです。
消滅してしまった物体は、人間の感覚による「認知」では捉えられませんが、言語能力による「識知」次元ではそのまま存続しています。
つまり、動物次元の「自然的存在」を超えて、人間特有の「超自然的存在」に昇華していく、ということです。
⑦さまざまな霊魂は通常、不可視的存在であるから「霊的(spiritual)」とされ、人間と同じように喜怒哀楽の心意を持っているから「人格的(personal)」ともみなされる。
霊魂は人間の感覚能力の「視覚」では捉えることはできませんが、言語能力が創り出した「幻想力」では「不可視」物として確かに捉えられていますから、そのこと自体が「霊的」とみなされるのです。
また霊魂は不可視であるにもかかわらず、「意思」を持った存在と理解されており、そのこと自体もまた「識知」次元の存在であることを意味しています。
とすれば、上記の数式は、次のように展開されるでしょう。
【霊魂=(人間+諸存在)×(動体+意思)×(生前+死後)=不可視+人格】
このようなアニミズムが、石器後波の人口容量をいかにして作り上げたのか、さらに考察を進めていきましょう。