2017年2月4日土曜日

少子化対策で出産は増えるのか?


昨今のわが国では、出生数が減り続けているため、さまざまな出産奨励策が展開されます。

その中核となる、政府の「少子化社会対策大綱(2015年3月20日閣議決定)では、次のような重点課題が立てられ、それぞれに対応する政策が計画されています。

子育て支援施策の一層の充実・・・子ども・子育て支援新制度の円滑な実施、待機児童の解消、「小1の壁」の打破 

若い年齢での結婚・出産の希望が実現できる環境の整備・・・経済的基盤の安定、結婚に対する取組支援 

多子世帯への一層の配慮で3人以上子供が持てる環境の整備・・・子育て・保育・教育・住居など様々な面での負担軽減、社会の全ての構成員による多子世帯への配慮の促進 

男女の働き方改革の推進・・・男性の意識・行動改革、「ワーク・ライフ・バランス」・「女性の活躍」の推進 

地域の実情に即した取り組みの強化・・・地域の強みを活かした取組支援、「 地方創生」と連携した取組の推進


これまで述べてきた人口抑制装置の視点で考えると、これらの対策は果たして効果があるのでしょうか。
 



① 「
出産適齢女性人口の減少」は、一定の人口容量の中で人口集団が増加・停滞・減少という過程を辿る場合、年齢構成が徐々に上昇していくという生理的装置の結果であり、大綱の諸対策では如何ともしがたい

② 晩婚化・非婚化が拡大する一因が、
「遭遇機会減少という社会的環境」や「結婚資金不足という経済的環境」などの社会的条件の変化であるとすれば、大綱の諸対策はそれなりの効果が期待できる

③ もう一つの要因が
「自由度の維持」や「不必要性」などの個人的願望の変貌である以上、大綱の諸対策の効果はほとんど期待できない

④ 結婚・出産の外部環境で
「大都市という居住環境」や「人口容量の伸び悩み」という抑制装置が暗黙のうちに作動している以上、大綱の諸対策の効果はほとんど期待できない

⑤ 結婚・出産の個人条件で、個々人の「自我肥大度」は高まるものの「期待肥大値」は減少するため、
自己保守意識が拡大している以上、大綱の諸対策では如何ともしがたい

⑥ 少子・無子化が拡大する一因が、
「夫婦の人生観・生活意識と子どもに対する費用対効果の比較」であるとすれば、大綱の諸対策それなりに効果が期待できる

⑦ もう一つの要因が
「夫婦の自我肥大度」と「子どもの期待肥大値」の比較である以上、大綱の諸対策の効果はほとんど期待できない

以上のように、少子化社会対策大綱の諸対策では、一部の効果は予想されるものの、人口抑制装置の本質的な作動に対抗することはほとんど不可能であり、結婚の促進も出産の増加もともに期待できないといえるでしょう。





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