少子化対策の是非が議論される昨今、フランスやスウェーデンなど、ヨーロッパ先進国の成功事例を、わが国にも導入すべきだ、との意見が高っています。
本当にそうなのでしょうか。
ヨーロッパ主要国の合計特殊出生率の推移を眺めてみると、2つのグループに分かれています。
フランス、スウェーデン、イギリスの高グループと、ドイツ、イタリア、スペインの低グループです。日本の出生率も低グループと同じです。
なぜ2つに分かれるのでしょうか。
フランスやスウェーデンでは、現金給付と現物給付の「両立支援」が成功し、ドイツでは現金給付が中心で成果が出なかったため、とか、イタリアやドイツでは「伝統的家族観」が強く、良妻賢母が貴ばれているせいだ、などと説明されています。
しかし、現金給付が中心のイギリスも高グループに入っており、地縁共同体が強いゆえにスペインは低グループに留まっている、との指摘もあります。
スウェーデンでは、1980年代に両立支援を強化して、90年前後に出生率を一気に高めはしましたが、その後の財政破綻で支援を弱めると、5年ほどで急低下させました。
この経緯については、筆者は17年前、「中央公論」(2000年12月号)に「スウェーデン・モデルの失敗」と題して寄稿しています。もっとも、2000年以降は順調に回復させ、今では高グループに入っています。
このように、高低両グループの要因は、支援策の有効性から伝統的な国民性に到るまで、極めて多岐にわたっており、単純には説明できないようです。
本当の要因は一体どこにあるのでしょうか?
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