「言語生成論・新仮説」として「言語」という人類の表現装置(言分け装置)を、「深層言語」「象徴言語」「表象言語」の生成状況として考えてきました。
このうち、「深層言語」については、考古学のさまざまな資料に基づき、7~5万年前ころから進展し始め、3万年前ころにはホモ・サピエンスの間へ浸透していった、と推定してきました。
ところが、これまでの論述について、読者の方々から「言語階層(深層言語・象徴言語・表象言語・交信言語・思考言語・観念言語)」と「言語群(動作言語・音声言語・形象言語・表号言語・文字言語)」の定義が混乱しているのではないか、とのご指摘を受けました。
早速読み返してみると、なるほど「言語」という名称を多発させており、言語の階層と種類が曖昧化するケースもありました。
そこで、「言語」の定義を明確化すべきと考えましたが、この分野については、先学諸賢の見解や理論などはほとんどありません。僭越ながら、関連用語の定義を次のように設定し直しました。
➀人類の「言分け(コトバやシンボルで把握した外界像)」行動には、「言葉」による対象把握に加え、さまざまな「表現形態」による把握もある。つまり、音声、文字に加え、動作、形象、表号の、5つの「表現」である。 それぞれの「表現」行為を「音声表現」「文字表現」「動作表現」「形象表現」「表号表現」と名づける(「表現」という言葉については、なお思考中です)。 ➁音声表現と文字表現は「言語表現」であり、動作表現と形象表現と表号表現は「形態表現」である。 ➂言語表現には、認識段階に沿って「深層言語」「象徴言語」「表象言語」「交信言語」「思考言語」「観念言語」という、6つの「言語階層」がある。 ➃形態表現にも、言語階層と同じく、「深層形態」「象徴形態」「表象形態」「交信形態」「思考形態」「観念形態」という、6つの「形態階層」がある。 |
以上のように、言語生成・新仮説では、言語行動の定義を音声、文字から動作、形象、表号にまで広げるとともに、それぞれの相互作用による進展過程を柔軟に考察していくことにします。

