5つの人口波動を生み出した時代識知を、ディナミズム、アニミズム、ミソロジー、リリジョン、サイエンスの順番に考察してきました。
5つの時代識知は、人類がどのような形で環境世界(生活世界構造)を捉えてきたか、を示しています。
その変化を人間の認識行動の視点から、改めて整理してみましょう。
●ディナミズム(dynamism:汎力説)は、人類が「身分け」で捉えた「動くもの」を、「識分け」によって「活力」や「生命力」とみなす識知です。 ソト界という環境世界では、太陽や月から魚や昆虫までが、さまざまな形で動いていますが、人類はそれらの事物を、①その感覚による「身分け」力で「動くモノ」と捉え、続いて②意識による「識分け」力で「活力」や「生命力」と理解しています。 |
こうした力を粗放石器で自らの暮らしに取り込み、人類は石器前波の人口容量を生み出しました。
●アニミズム(Animism:汎霊説)は、人類が感覚で「身分け」したモノの中に、「識分け」によって何らかの精神性を意識し、「言分け」を始動させて、「霊魂」や「精霊」とみなす識知です。 ソト界という環境世界で蠢いている、さまざまな事物を「身分け」で「動くモノ」、「識分け」で「活力」や「生命力」と理解した対象を、さらに「言分け」の基盤(言語阿頼耶識)によって、①「霊魂」という意思の存在を認め、②それらの連関構造もまた認識した、ということです。 |
こうした連関を高度な石器で自らの暮らしに取り込み、人類は石器後波の人口容量を創造しました。
●ミソロジー(Mythology:神話)は、人類が感覚で「身分け」したモノの中に、「識分け」によって、幾つかの “心像象徴”を形象化し、「言分け」によってそれらを連結させ、「文章=神話」の形で、集団的に共有した識知です。 環境世界で蠢いている、さまざまな事物を「身分け」によって「動くモノ」と捉え、「識分け」によって「人格」や「超人性」を認めたうえで、「言分け」によって、①「神性」という主体の存在を「神像」という形で理解し、②さまざまな神々の繋がりもまた「文章=神話」の形によって、集団的に共有しました。 |
こうした共有を自然農耕で自らの暮らしに取り込み、人類は農業前波の人口容量を創り上げました。
●リリジョン(Religion:宗教)は、人類が感覚で「身分け」したモノを、「識分け」によって“心像象徴”に形象化し、さらに「言分け」によって「文章=神話」として連結したうえ、その中核を建てて、統合化をめざした集団的な識知です。 ソト界で蠢く、さまざまな事物を、「身分け」によって「動くモノ」、「識分け」によって「人格」や「超人性」、「言分け」によって「神性」と「文章=神話」の形で共有したものに対し、さらに①それらの中核となる象徴を置くことで、②集団的な「統合(integrate)」を実現しました。 |
こうした統合を集約農耕に応用することで、人類は農業後波の人口容量を生み出しました。
●サイエンス(Science:科学)は、人類が感覚で「身分け」したモノを、意識で「識分け」してモノコトにし、さらに言語力の「言分け」によってコト化、つまり数字、観念、記号などの連結体として、集団的に共有した識知です。 ソト界で蠢いている、さまざまな事物を、「身分け」「識分け」によって「モノコト」として認めたうえで、「言分け」を駆使して、①さまざまな「要素」に還元し、②それらの要素の連携体として環境世界を理解しようとしています。 |
こうした理知界の知識(思考・観念言語)を応用することで、人類は工業現波の人口容量を創造しました。
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以上のように、環境世界に対応する時代識知を次々に転換することで、人類はその生存基盤となる人口容量を次第に拡大し、5つの人口波動を創り出してきました。
視点を変えれば、現代社会の世界認識は、サイエンスを基盤にしつつも、その下層にはリリジョン、ミソロジー、アニミズム、ディナミズムを重層的に潜ませている、ともいえるでしょう。
早朝、出航しようとしている、現代の漁民は、予めパソコンで気象を確認したうえで、お寺で安全を祈り、社に首を垂れて、迫りくる竜巻を宥めつつ、登り始めた太陽に希望を託しているのです。
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