一つの人口波動を生み出す文明は、前半は人口容量を拡大させますが、後半により高度な段階に達すると、もはや容量の拡大よりも技術そのものの精緻化や言語化(情報化)の方向へ向かっていく、と述べてきました。
前半は用具(実用器=利器や武器など)が中心になりますが、後半になると情具(心理器=儀器や祭器など)が増えてくる、ということです。
実際、日本列島の石器前波では、後半の約2万年前頃の遺跡から、さまざまな儀器や祭器が発掘されています。
① 耳取ビーナス
鹿児島県曽於市・耳取遺跡・約2.4万年前・・・頭部や手足を省略したイメージで、女性像を線刻した石器
② こけし形石偶
大分県豊後大野市・岩戸遺跡・2万年前・・・頭部と体を表す形態で女神像を表現した石器
③ 女神石
愛媛県美川村・上黒岩岩陰遺跡・1.2万年前・・・乳房などで女神像のイメージを線刻した石器
旧石器という文明もまた、実用器から心理器へ、利器から心器へ、つまり用具から情具へ、というプロセスを踏んでいるのです。
人間にとって、文明とはモノの拡大をもたらすとともに、ココロの進化をもたらすものといえるでしょう。
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