2026年3月12日木曜日

今後50年を予測する➂:時代識知動揺ー前

農業後波の飽和期(13001350年頃)をモデルに、工業現波の飽和期(20202070年頃)の世界を予測しようとしています。

前回までの「人口容量限界化」に基づく「社会的混乱」の拡大が続く中で、世界認知の根底にある時代識知では、これまでのサイエンス主導への動揺が広がるとともに、新たな識知への模索が始まります。

そこで、今回から「時代識知動揺」について、「サイエンス識知の混迷」と「ル・ルネサンスの萌芽」を展望していきます。

まずは「サイエンスという時代識知」・・・これについては、混迷が予想されます。

サイエンスという識知は、【サイエンスという識知が工業文明を創った!】で指摘したように、❶要素還元主義(機械論的自然観)、❷数字・記号的思考、❸科学万能主義などで構成されていますが、この構造自体がそろそろ限界に近づいています。

第1は分断的思考の限界

飽和期の社会がこれまで述べてきたような、さまざまな混迷に陥るにつれて、それを凌駕するような、新たな知性が学問の世界にも渇望されています。

しかし、サイエンスではとても対応はできません。現在のサイエンスは、新しい理論や世界観を作るというより、既存の理論を細かく修正・補強する「微調整」行動に集中している、との指摘もあるからです(Papers and patents are becoming less disruptive over time: Michael Park et alNature, 04 January 2023)。

要素還元主義により、専門分野が細かく分けられているため、隣接分野で何が起きているかもわからないまま、より統合的、より本質的な発見が難しくなっているのです。

第2は統計的推論の限界

理化学分野はもとより、体調・知力・生活構造や政治・経済・社会問題まで、数字や観念記号で表現する数学的・統計的思考が一般化していますが、あまりの普遍化に疑いが持たれ始めています。

とりわけ近年の経済予測では、「パンデミック後の世界的インフレは一時的」や「日本のバブル崩壊後のV字回復」など、好・不況の予測が外れる事態が多く、数量的推定の限界が囁かれています。

数字や統計は、現実を完全に説明するものではなく、データに基づいて一定の傾向を推測する道具にすぎません。それにも関わらず、全てを示しているような情報手法への不信が増し、より統合的な情報を求める傾向が生まれ始めています。

第3は急進するAIへの不安

急速に進むAIによって、さまざまな分野への応用が進み始めていますが、一方では人智を超える成果が期待されるものの、他方では戦乱突発や人類超越など、さまざまな危険性もまた予測されています。

これは「科学という思考そのものの変化」を意味しており、利害得失、いかなる方向へ向かうべきか、これまた混迷状態にあります。

以上のように、人口が飽和状態を続けるにつれて、「サイエンスは全て正しい」という時代識知もまた再考すべきではないか、との意識が生まれているようです。

0 件のコメント:

コメントを投稿