2024年12月20日金曜日

グローバル共助貨幣を構築する!

互酬制の歴史から見えてきた、グローバル・レシプロシティーの未来に関する、3つの検討事項のうち、3番めは互助内容の集中化です。


グローバル・レシプロシティーの条件を考える!】で見てきたように、互助行動の中味は、食糧・衣料など生活資源の提供、作業や介護など労働の提供、儀礼や交際など接遇の提供に始まり、生活資金や保険対応などの金銭提供を経
て、生涯資金や最低生活費などの資金提供に至っています。

こうした推移を考慮しつつ、グローバル・レシプロシティーにおける互助内容を考えてみると、物質的な扶助やサービス的な扶助は国家などに任せ、ベーシックインカムとして生活資金の互助に集中する、という方向が有力だ、と思われます。

とすれば、国家保証を超えた、世界規模の仮想通貨、いわばグローバル・レシプロシティー・カレンシィ(GRC:世界的共助貨幣)とでもよぶべき貨幣の構築をめざさなければなりません。具体的に言えば、次のような方向が求められるでしょう。

➀国土や国家などを超えて、グローバルに共有できる価値交換をめざすには、デジタルな貨幣機能を持つこと。

➁交換手段としての価値の保証を、互助集団間の信用保証に置くこと。

③交換財の贈与や受領の際に、国家保証貨幣との交換が可能なこと。

◆最初の「デジタル貨幣機能」については、近年急速に拡大しつつある「デジタル通貨システム」を積極的に応用していきます。

デジタル通貨は、通貨や貨幣などの価値資産全般を、デジタルコンピュータシステム、とりわけインターネット経由で管理・保存・交換するシステムであり、暗号通貨、仮想通貨、ビットコインなどの形態で行われています。

GRCでは、このシステムを継承しつつ、投資よりも共助の要素を高めていきます。

◆2番めの「価値保証」については、仮想通貨やビットコインなどで行われている、P2P(Peer to Peer:仲間と仲間)システムを基盤に、互助関係者や互助団体などが全員で保障に参加するシステムをめざします。

現行のP2Pでは、参加者全員で取引行為を監視するブロックチェーンという仕組みによって、各国の中央銀行が価値を保証する法定通貨とは異なる方法で、デジタル通貨の価値を担保しています。

GRCでは、このしくみを基礎にしつつ、参加者全員による、さらに広範な監視システムを構築し、その価値を保証していきます。

◆3番めの「国家保証貨幣との交換可能性」については、グローバル・レシプロシティーに参加する各国の地球人が、自らの資金や財産などを、この制度へ提供しようとする時、あるいはGRCの給付を受ける時、それぞれの国家の保証する貨幣との交換がスムーズにできることが求められます。

これについても、現行の仮想通貨システムでは、さまざまな企業が展開している暗号資産取引所サイトにおいて売買、街中のビットコインATMで売買、ビットコイン決済の利用可能な店舗で決済などが可能ですから、GRCの換金制度にも、このようなシステムの導入が期待されます。


こうして見てくると、GRC制度の構築とは、進展する生成AIを積極的に応用して、単なる投資システムを大きく超える、まったく新たな世界的共助制度へ向かって、人類全体が動き始めることを意味しています。

2024年12月10日火曜日

互酬制の歴史から何を学ぶか?

互酬制の歴史をさまざまな先駆者の業績を辿りつつ、おおまかに振り返ってきました。

そこから見えてきたのは、【Global・レシプロシティーの条件を考える!】で示したように、互酬制の未来に関する、次のような検討事項でした。

知縁関係の再生、互助精神の再生、互助内容の集中化

これらの事項を、グローバル・レシプロシティーの構造に採り入れるにはどうすればいいのでしょうか。

このブログではすでに【グローバル・レシプロシティー・・・構築プロセスを考える!】で、大まかな手順を思考していますので、その中に上記の条件を導入するとすれば、次のような検討が求められるでしょう。


最初に配慮しなければならないのは、
知縁関係の再生、互助精神の再生の2つを、➀AI技術を活用したGR実践基盤の構築と、➁互酬団体の構築の2つに、いかに組み入れていくか、です。

「AI技術を活用したGR実践基盤の構築」では、「地球民一人一人が自主的に参加できる、国境を越えた互助組織の構築」を目ざしますが、それには次のような対応が求められます。

AI技術によって、グローバル・ネットワーク上に、年齢・性別・職業・趣味・嗜好などを共有する交友関係やグループを形成する。

⑵その関係をデジタルからアナログへ広げるために、ギフト交換や旅行などによって直接交際を促進する仕組みを創る。

⑶こうした相互関係の強化によって、地球上で同時代に生きている個人同士の共感と信頼を強めていく。

そのうえで、「互酬団体の構築」では、地球単位のGRを構築していく前提として、まずは国境を越えた、幾つかの互酬団体の設立が期待されますが、これにも知縁関係と互助精神の再生を以下のように配慮しなければなりません。

⑴ネットワーク上で形成された交友関係やグループなどが、互いに助け合う仕組みを取り入れられるよう、新たな制度を思考し創設する企画組織を、これまたAIを駆使して創り上げる。

⑵この組織では、まずは緊急時や困惑時などに物資や資金などを支援する仕組みを提案し、徐々にレベルを上げて、財源の多様化を図りつつ、ベーシックインカムの互酬関係を提案する。

⑶企画組織は、こうした制度をさまざまなネットワーク・グループへと勧め、寄付行為や遺贈行為を促進していく互酬団体を形成する。

以上のような対応で、最初にそれぞれが自ら互酬関係を創り上げるグループを、グローバル・ネットワークの上に形成し、続いて「互助内容の集中化」に向かって、デジタル通貨、電子マネー、仮想通貨などを統合する貨幣基準を設計していくことが求められるでしょう。