複合経済体制へ進展する、大きな課題としてグローバル・レシプロシティー(地球民互助機構:Global Reciprocity:GR)を提案し、AIによる機構構築や運営方式などを展望しています。
この課題に関連する社会・経済学分野では、この20年ほどの間にさまざまな革新的提案が行われています。グローバル・レシプロシティーへの応用が可能なのかどうか、ひとまず確認しておきましょう。
最も代表的な提案として、効果的利他主義(Effective Altruism)と効果的加速主義(Effective Accelerationism)の2つを取り上げてみます。
まず概要を整理します。
効果的利他主義(Effective Altruism)
●科学的な根拠に基づき、最大のインパクトを生み出す利他行為を実証的に発見し、その実現を目標に掲げるという主張であり、実践的コミュニティーとしても活動を始めている。 ●2000年代にイギリスの大学教授らが中心となって開始し、2011年には「効果的利他主義」という名称が作られた。 ●2009年ころから幾つかの非営利組織を創設、社会的に効果の高い「寄付」と「担い手選択」に関する広報やコンサルティング活動を行っている。 ●2017年には、アメリカのバークレーにも事務所を設立し、「効果的な利他主義センター(CEA)」という名称で国際的な活動を行っている。 ●すでに3,500人以上の人々が、同組織の誓約書に従って、最も費用対効果が高いと思われる団体に残りの人生で収入の10%以上を寄付し、合わせて15億ドル以上の生涯寄付を誓約している。 ●現在では70以上の国々で、何万人かが効果的利他主義に賛同している。 |
効果的加速主義( Effective Accelerationism)
●技術革新によって加速される自由市場が、社会問題を解決する最も効果的な手段であると主張する立場である。 ●効果的利他主義が、科学的な根拠に基づいて最大のインパクトを生み出す利他行為をめざすのに対し、効果的加速主義は技術を利用して資本主義をさらに加速させ、社会変革をめざす。 ●テクノロジーの進歩と市場の成長こそが、さまざまな社会問題を解決できる方向だと考え、テクノロジー規制や脱成長論などに強く反対する。 ●2022年頃からTwitter(X)などを通じて広がり、シリコンバレーの起業家や投資家の間で多数の支持者を集めている。 |
以上のように、急激に進む技術革新をどのように社会的課題へ応用するかについては、まったく異なる視点からの主張が展開されています。
GRの構築には、どちらの主張が有効なのか、さらに詳しく検討していきましょう。
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