2024年11月19日火曜日

グローバル・レシプロシティーの条件を考える!

互酬制の形態を歴史的に振り返りつつ、今後の展望として、地域や国家を超えた互酬制度の方向を考えています。

下図に示したような推移を基に将来を展望すると、地球レベルの「グローバル・レシプロシティー」はいかなる方向へ向かうべきなのか、幾つかの条件が浮上してきます。

上図から浮上してくるのは、以下のような変化です。

➀制度次元・・・互酬を運営する仕組み、つまり互酬制度は、血縁、地縁、職縁などを基盤とする相互集団から、国民全体の相互扶助(年金、ベーシックインカム)を仲介する国家へと移行してきました。

これとともに、慣習的あるいは伝統的な仕組みであった「互酬」制度は、国政・行政的な「再配分」制度の要素を深めてきました。

➁互助行動者次元・・・互助を行う人間の単位もまた、家族、血族、地縁者、同業者などの「地縁人」から、国民や公民という「観念人」に移行してきました。

これによって、互助という仕組み自体も、相互扶助という協力関係から、国家による制度的援助へと変化しました。

③互助内容次元・・・互助行動の中味は、食糧・衣料など生活資源の提供、作業や介護など労働の提供、儀礼や交際など接遇の提供に始まり、生活資金や保険対応などの金銭提供を経て、生涯資金や最低生活費などの資金提供に至っています。

互酬基盤が地縁から国家へと移行するにつれて、互助の内容もまた、多様な互助関係から金銭的な支援関係へと変わってきています。

以上のような変化によって、互酬制度の基盤である「相互扶助」という精神性もまた、大きく変わりました。

互酬組織が家族・親族・同族集団から、村落や地域の居住集団、組合員や同業者などの就業集団を経て、国民という集団や政府という国家組織に代替された結果、「知縁」的な協力関係、つまり「助け合い」度は急速に薄れてしまったのです。

とすれば、今後の互助制度として、グローバル・レシプロシティーを構想する場合にも、次のような課題が浮かび上がってきます。

❶知縁関係の復活・・・地球単位の扶助関係を構築する前提として、何らかの方法で個々人の間の知縁を確保し、濃密化することが求められる(例:グローバル・ネットワークの応用)。

❷互助精神の復活・・・互酬制の本質である「互いに助け合う」という精神性を復活するため、世界各地の生活環境や生活水準などを周知させ、相互の理解を深めることが求められる。

❸互助内容の集中化・・・物質的な扶助やサービス的な扶助は国家など任せ、ベーシックインカムとして生活資金の互助に集中する。

このような基本条件を前提に、グローバル・レシプロシティーの構想を考えてみると、世界的な組織の創り方、財源、配布方法などの方向が朧気ながらも浮かんできます。

2024年11月9日土曜日

互酬制の歴史を振り返る!

互酬制や相互扶助に関する見解を、F.エンゲルスP.A.クロポトキンK.ポランニーなど、19~20世紀の著名思想家の立場から、ざっと眺めてきました。

さらに、アメリカの文化人類学者、M.サーリンズの互酬関係の3分類(一般的互酬性・均衡互酬性・否定的互酬性・・・『石器時代の経済学』)なども参考にしつつ、互酬制の定義と形態を歴史的な視点から、改めて考えてみました。

まずは当ブログで思考している「Global Reciprocity:地球的互助制」で、最も基本となるのは互酬制」の定義です。

ここで検討する「互酬制」とは、「地球上に生まれてきた人間一人が、生涯を生き抜くための、基本的な生活資源を、他人との間で補い合う仕組み」と規定します。

そのうえで、これまでの人類史に現れた「互酬制」の先例を、集団的な次元で整理してみると、下表のようになります。

血縁集団

最も基本的な互酬団体として、世界各地でさまざまな制度が行われてきました。
日本では農山漁村でイッケ、カブウチ、マキ、クルワなどの同族集団、商人社会ではノーレンといった血縁集団において、互酬性が行われてきました。中国大陸でも宋代以後、「義荘」という名称で続けられてきたようです(平凡社・世界大百科事典旧版)。
この次元では、家族・親族・同族など血縁関係が扶助担当となっています。

●地域共同体

多くの学者によって、さまざまな実例が紹介されています。

クラ交易(パプアニューギニア、トロブリアンド諸島・・・B.マリノフスキーの『西太平洋の遠洋航海者』1922

ポトラッチ(北米・北西沿岸インディアン諸族・・・M.モースの『贈与論』1925)

クラールランド制度(アフガニスタン・ヒンドゥークシュ山脈民族カフィール族・・・L.P.メア,An African Ponte in the Twentieth Century1904)

このほか、日本ではユイ・頼母子・無尽講などが、朝鮮半島では「」が、台湾本島原住民アミ族でも「頼母子」などが行われてきました(小学館・日本大百科全書)。

この次元では、村落居住者や地域居住者など、特定地域の住民同士が扶助担当となっています。

●社会共同体

中世ヨーロッパ都市におけるギルド(職業別組合)や、近代以降の世界各地で生まれた友愛組合・共済組合・労働組合・協同組合などが挙げられます(平凡社・改訂新版 世界大百科事典)。

この次元では、同業者組合員などが扶助担当となっています。

●国家

国家がそれ自体として互酬制に関わるのは、年金制度ベーシックインカムです。

1889年にドイツ帝国が始めた、民間人の強制加入による年金制度は、20世紀には各国に広がり、国家主導の互酬制として定着しています(世界史の窓)。

また近年では、租税を財源とするベーシックインカム制が、ヨーロッパ諸国で試行され始めています。

この次元では、一人一人の個人を越えて、その集団を意味する国家という団体が扶助担当となっています。

国民集団政府そのものが、扶助を保証しているといってもいいでしょう。

以上のような推移を歴史的に振り返ると、今後の展望として、地域や国家を超えた互助制度の方向が浮かんでくるようです。

いかなるものなのか、さらに考察していきましょう。

2024年10月15日火曜日

国家制度が相互扶助を壊した?

クロポトキンは『相互扶助論』の「結論」において、

「同業組合やギリシャ民族など、個人と団体とが互に相互扶助を行うとともに、聯合主義によって多大の敬意を許された時、人類史上の二大時代、即ち古代ギリシャ都市時代中世都市時代とが現出した。しかし、それに続く國家時代になると、相互扶助的諸制度が破滅されたため、急速な衰微の時代となった」と述べています。

筆者流に解釈すれば、「相互扶助によって、古代ギリシャ都市中世西欧都市という、理想的な社会が生み出されたものの、それに続いて現れた国家という制度によって、相互扶助制度が破滅され、社会全体が衰微の時代に陥った」ということだと思います。

「国家」という制度を厳しく批判する、まさにアナキズム(無政府主義)思想の原点だと思いますが、その論理はいかなるものなのでしょうか。

『相互扶助論』の第6章(P304305で、詳細を確かめてみましょう。

●(ヨーロッパ社会では)自信と聯合主義、各団体の主権、および単純から複雑に進む政治組織、これらが11世紀の主流的思想であった。

●然るにこの時代以降、これらの思想が全く一変してしまった。ローマ教皇イノセント三世時代(11981216年)になると、ローマ法の学者等とローマ教会の高僧等が密接に協力して、都市の建設を支配した思想、即ち古ギリシャ思想を麻痺させることに成功した。

●彼等は200300年の間、説教壇や大学の講壇、あるいは裁刊所の法官席の上から、次ぎの如く説き、かつ教えた、

●(個々人の)救いは、半神的権威の下にある、強固な中央集権的国家に求めなければならない。ただ一人の、一切の権利を待った独裁官が、社会の救主たり得るし、また救主たるべきものである。

●この独裁官は、救主の名の下に、あらゆる種類の暴行を犯す事ができる。男や女を棒杭の上で火炙りにする事もできる。言うに忍びない拷問の下に殺してしまう事もできる。一州二州の土地の全部をどんなに甚だしい惨況にでも陥入れる事ができる。

●これらの學者と高僧は、王の剣と教会の火の及ぶ限り、あるいはこの2つを合わせて、いたるところに未聞の残忍さを以て、この理論を大仕掛けに実行した。

●絶えず繰返される、この教訓と実例に、遂には市民の心までもが慣らされて、新しい型の中に鋳こまれてしまった。そして、市民等は、どんな暴力でも、又どんな嬲り殺しでも、それが『公安』のためとあれば、無茶だとか残酷だとか思わないようになった。

●人心がかくの如き新しい傾向に走り、人間の権力に就いての斯くの如き新しい信仰を得てからは、古い聯合主義的思想は消え失せ、民衆の創造的天稟までも死んでしまった。要するにローマ思想が勝利を占めたのだ。そして、かくの如き事情の下に、都市は中央主権的国家の思うままの餌食になってしまったのだ。

(『相互扶助論』を筆者が要約)

ここでいうローマ思想とはいかなるものでしょうか。筆者の推定では、神聖ローマ帝国の摂理(神の導き)的使命として、皇帝は地上における神の似像であるとする、キリスト教的な帝国理を表わす考え方、と思われます。

とすれば、「相互扶助を破滅させた」主体として、クロポトキンが弾劾しているのは、「神聖ローマ帝国とローマン・カトリック教会に代表される国家」という制度ということになるでしょう。

なるほど歴史的にみれば、中世ヨーロッパの相互扶助を破壊したのは、ローマ的国家制度かもしれません。

しかし、視点を少し広げれば、国家という制度は、この時代のずっと前から、世界の各地で発生し、かつ成長していました。だとすれば、ローマ的国家制度だけに責任を負わせるのはいかがなものでしょうか

当ブログの「地球的互酬制度(Global Reciprocity」という視点に立てば、人類全体の互酬制は国家制度を否定するのではなく、その存続を前提にしつつも、より多角的な制度として設計していくべきだと思います。

2024年10月9日水曜日

450件の事例から、生活市場の未来を展望してみました。

新刊の『人口減少逆張りビジネス』は、このブログで展開してきた「人口波動法」で未来社会を予測し、別のブログ「生活学マーケティング」で展望してきた生活需要の変化を重ね合わせて、従来の成長・拡大型発想を大きく超える、飽和・濃密型のマーケティングを大胆に提案しています。 

詳しくは 人口減少逆張りビジネス(日本経営合理化協会)

この本では、理論的な説明に加え、商品やサービスはもとより、起業事例やイベント事例など、さまざまな“逆張り”事例を紹介しています。

その数は、450件を超えています。

事例の選択に当たっては、新聞や雑誌などは勿論、Web上で得た、さまざまな情報を基礎に、各企業・団体などのサイトを参考にさせていただきました。

この過程で感じたのは、分析対象にしようとしたサイトの中には、かなり粗雑、あるいは杜撰と思えるような記事が多いのではないか、ということでした。

そこで、注意深く取捨選択し、適切と思われる記事だけを事例対象としました。

その意味では、以下に挙げる事例では、極めて適切な情報を提供されている、と思います。

ここにご紹介して、改めて御礼を申し上げたい思います。

 

【掲載商品・企業・団体など一覧】

 Ⅰ部 縮小市場をプラスに変える逆転発想

1章 総人口減少をプラスに変える

ウィナーズ㈱ レコルト「ポット型自動調理家電」/パナソニック㈱「ソロタ」/リズム㈱「MIST Mini」/アイリスオーヤマ㈱「サーキュレーターアイ DC silent」/シャークニンジャ「Shark EVOPOWER SYSTEM STD+」/㈱スペースエージェンシー「小さな家、PACO」/「フェスティバルシティ・アウガ」/「ミッドライフタワー青森駅前」/「富山ライトレール」/

㈱とくし丸「とくし丸」/㈱ローソン「ローソン川口末広三丁目店」/㈱セブン・イレブン・ジャパン「セブンミール」/㈱シニアクリエイトライフ「宅配クック123」/㈱キャムテック「キャムテックエデュックアカデミー成田センター」/㈱グローバルトラストネットワークス「TRUST NET 21」/UR都市機構「UR賃貸住宅」/「全国版空き家・空き地バンク」/㈱LIFULLLIFULL HOME'S 空き家バンク」/㈱アットホーム「アットホーム 空き家バンク」/

Little Japan「ホステルパス」/㈱アドレス「ADDress」/㈱ビックボックス「ミニログ」「コスカA・それでね」「シエル・森の妖精」「マンシッカ・いちご」/オムロンヘルスケア㈱「オムロンねむり時間計 HSL―002C」/㈱ドリームズ・カム・トゥルー「ネムリエール」/西川㈱「nishikawaID」/フランスベッド㈱「冷暖四季パッド」/㈲小池経編染工所「首枕」/㈱ウェルヴィーナス「ネムヒール」/

㈱セブンイレブン・ジャパン・㈱ローソン「恵方巻」/㈱ファミリーマート「特上恵方巻」/ネスレ日本㈱「キットカット」/明治製菓㈱「(う)カール」/㈱ロッテ「トッパ」/カバヤ食品㈱「さくさくぱんだ」/縁起茶本舗㈲アルゴプラン「茶柱縁起茶」/伊勢神宮/出雲大社/天河神社/戸隠神社/恐山/朝日カルチャーセンター/NHK学園「生涯学習通信講座」/㈱ユーキャン/㈱日本マンパワー

2章 年齢上昇をプラスに変える

セイコーエプソン㈱「MOVERIO スマートグラス BT300」 /Apple Inc.Apple Watch Series 9」/シチズン㈱「Eco-Drive Riiiver BZ7000-60L」/カシオ計算機㈱「Gショック」/㈱K2インターナショナルジャパン「湘南・横浜サポステ・プラス」/㈱九州コミュニティーカレッジ「みやざきサポステ・プラス」/キャリアバンク㈱「はこだてサポステ・プラス」「おびひろサポステ・プラス」/「あさひかわサポステ・プラス」「せんだいサポステ・プラス」/㈱Ⅰ・M・S「あおもりサポステ」、「ひろさきサポステ」/

花王㈱「ヘルシア緑茶」「ヘルシアコーヒー」/サントリー食品インターナショナル㈱「黒烏龍茶」/キリンビバレッジ㈱「キリン メッツコーラ」/サントリー㈱「伊右衛門 特茶」「ボス グリーン」「ロコモア」/明治製菓㈱「ヨーグレット」/ハマダコンフェクト㈱「バランスパワー」/アサヒフーズ アンドヘルスケア㈱「1本満足バー」「クリーム玄米ブラン」/大塚製薬㈱「SOY JOY プラス」「カロリーメイト」/キリン㈱「パーフェクトフリー」/キリンビバレッジ㈱「メッツ プラス レモンスカッシュ」/アサヒビール㈱「アサヒ スタイルバランス」/

㈱ファンケル「えんきん」/カルピス㈱「アミール WATER」/ロート製薬㈱「ロートV5粒」/アサヒフードアンドヘルスケア㈱「ディアナチュラゴールド」/森下仁丹㈱「ヘルスエイド ビフィーナR」/キユーピー㈱「ヒアルロン酸+グルコサミン」/大正製薬㈱「大正グルコサミン」/㈱世田谷自然食品「グルコサミン+コンドロイチン」/㈱ヤクルト本社「グルコサミン」/㈱資生堂「グルコサミン+コンドロイチン」/アサヒフードアンドヘルスケア㈱「グルコサミン・アクティオ」/サントリー㈱「ロコモア」/富士フイルム㈱「新グルコサミン&コラーゲン」/サントリーウエルネス㈱「ブルーベリー」/㈱DHC「ブルーベリーエキス」/キユーピー㈱「ブルーベリー&ルテイン」/ボシュロム・ジャパン㈱「ルテインブルーベリー& アスタキサンチン」/パナソニック㈱「Jコンセプト」/三菱電機㈱「三菱大人家電」「MeAMOR」/タイガー魔法瓶㈱「tacook)」/NTTドコモ「らくらくスマートフォン F-52B」/ソフトバンク㈱「シンプルスマホ6」/KDDI㈱(au)「BASIO active」/マッスル㈱「ロボヘルパーSASUKE」/㈱ジェイテクト「J-PAS fleairy」/RT・ワークス㈱「ロボットアシストウォーカーRT.2」/㈱今仙電機製作所「aLQ by ACSIVE」/㈱アム「流せるポータくん3号」/DFree㈱「DFree」/㈱リリアム大塚「リリアムスポット2」/㈱がまかつ「サットイレ」/エコナビスタ㈱「ライフリズムナビ+Dr.」/

キング通信工業㈱「シルエット見守りセンサー」/㈱ラムロック「みまもり CUBE」/㈱ZIPCARE「まもる~のONE」/㈱カブメディカルスイッチ「FUKU助」/㈱レイトロン「Chapit」/㈱ハイレックスコーポレーション「バスアシスト」/積水ホームテクノ㈱「wellsリフトキャリー」/ジーコム㈱「ココヘルパX」/社会福祉法人善光会「SCOP Now」/㈱アガツマ「アンパンマン はじめてのキッズタブレット」「めいろ遊び」「おうたもあいうえおも! アンパンマン はじめてのキッズタブレット」「アンパンマン 見て! 触って! 学べるあいうえお カラーナビキッズタブレット」/㈱学研ステイフル「あそびながらよくわかる あいうえおタブレット」/

ローヤル㈱「さわって!バイリンガルずかん」/㈱ジャストシステム「スマイルゼミ」/㈱ナガセ「東進オンライン学校」/㈱明光ネットワークジャパン「オンライン個別指導」/㈱ソニー・グローバルエデュケーション「LOGIQ LABO」「KOOV」/㈱タミヤ「ミニ4駆」/青島文化教材社「楽プラ・スナップカー」/㈱ハセガワ「戦艦三笠」「戦艦大和」/㈱バンダイ「ガンプラ」/㈱タカラトミー「リニアライナー超電導リニアLO系スペシャルセット」/㈱エポック社「野球盤3Dエース」/上新電機㈱「スーパーキッズランド本店」/㈱コナミスポーツ&ライフ「OyZ」/㈱ルネサンス「脳はつらつ教室」/

㈱カーブスジャパン「カーブス」/㈱明治「アミノコラーゲン」/森永製菓㈱「おいしいコラーゲンドリンク」/銀座ステファニー化粧品㈱「プラセンタ100」「プラセンタ100 CORE」/㈱ArcPlange」/サントリーウエルネス㈱「FAGE・」/資生堂㈱「エリクシール」/㈱ポーラ「Red B.A」/十仁美容整形「フェイスリフト」/㈱タイトー「大人のメダル倶楽部」/㈱カプコン「プレミアム会員制度」/アドアーズ㈱/㈱エクシング「健康王国」/シダックス㈱/(社福)よいち福祉会「よいち銀座はくちょう」

3章 家族縮小をプラスに変える

味の素㈱「味の素 35グラム瓶」/アサヒビール㈱「サントネージュ リラ」320ミリリットルサイズ/サントリーワインインターナショナル㈱「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。」250ミリリットルサイズ/㈱J‐オイルミルズ「ちょっとdeちょうどいい!」/㈱キユーピー「キユーピーマヨネーズ」450グラム/エバラ食品工業㈱「プチッと鍋」「プチッとステーキ」/㈱日清食品「あっさり少なめカップヌードル」/カルビー㈱「フルグラ・ビッツ」/

日鉄興和不動産㈱「リビオレゾン」/東急リバブル㈱「ルジェンテ」/三洋ホームズ㈱「サンマイン」/パナソニック㈱「プチドラム」「プチ食洗」/シャープ㈱「コンパクトドラム」/三菱電機㈱「本炭釜」/ヤマサ醤油㈱「ヤマサ 鮮度の一滴 特選しょうゆ」500ミリリットルパウチ/ウィナーズ㈱「ポットデュオエスプリ」「ポットデュオ」/iRobot「ルンバ」/㈱フィリップス エレクトロニクス ジャパン「ノンフライヤー」/

㈱セブンイレブン・ジャパン「セブンプレミアム」/㈱ファミリーマート「ファミリーマートコレクション」「お母さん食堂」「ファミマル」/ミニストップ㈱「やみつキッチン」/イオン㈱/㈱ヤオコー/㈱マルエツ/㈱いなげや/㈱ライフコーポレーション/

象印マホービン㈱「みまもりほっとライン」「i-POT」/ソニー㈱「aiboのおまわりさん」/㈱立山システム研究所「たてやまみまもりeye」/志幸技研工業㈱「ネットミル」/㈱ソルクシーズ「いまイルモ」/㈱アルソック「シルバーパック」/東急セキュリティ㈱「シニアセキュリティ」/

都市再生機構(UR都市機構)「ハウスシェアリング」/東京都住宅供給公社「ルームシェア制度」/「ひつじ不動産」/「シェアパレード」/「colish」/「芦屋17」/コレクティブハウジング社「かんかん森」/㈲すてっぷ企画室「しまんと荘」/釧路町型コレクティブハウジング/コレクティブハウス巣鴨・スガモフラット/コレクティブハウス聖蹟/コレクティブハウス大泉学園/コレクティブハウス元総社コモンズ/コレクティブハウス本町田/「南風ん風」/ハイツ白鷺/coco camo/ラメール三条/PostoCo.

Ⅱ部 〝逆張り〟を実現する2大戦略体系

4章 量的縮小を突破する「6別化」戦略

アップル「iPad」「Apple Watch」/マイクロソフト「Surface」/グーグル「Google pixel」「Google Glass」/サムスン電子「Galaxy Gear」/ソニー㈱「SmartWatch」/セイコーエプソン㈱「MOVERIO」/テレパシー㈱「Telepathy One」/トリンプ・インターナショナル・ジャパン㈱「マグネセレブ」/タイガー魔法瓶㈱「おとなのタクック」、ダイキン工業㈱「ラクエア(Wシリーズ)」/㈱ツインバード「TC─E264B」/シロカ㈱「らくらクリーナー」/アイリスオーヤマ㈱「MagiCaleena」/㈱NTTドコモ「らくらくスマートフォン」/ソフトバンクモバイル㈱「シンプルスマホ」/KDDI㈱(au)の「BASIO active」/㈱良品企画「授乳にも便利なマタニティウェア」/日本トイザらス㈱「ベリー

フィットパンツ」/㈱ユニクロ「ヒートテック」/㈱しまむら「ファイバーヒート」/ベルメゾン(㈱千趣会)「ホットコット」/㈱セブン&アイ・ホールディングス「ボディヒーター」/セーレン㈱「DEOEST」/㈱ワコール「Graces」/グンゼ㈱「KIREILABO」/㈱名美アパレル「Chiaretta」/㈱ケアファッション「脇全開ジャージパンツ」/日立アプライアンス㈱「2段ブーストサイクロン」/

パナソニック㈱「マッサージチェア」「マッサージソファ」/コンビ㈱「コンビ ホワイトレーベル ディアクラッセ アルファロメオ」/㈱GMPインターナショナル「エアバギーココブレーキ」/ニューウェルブランズ・ジャパン㈱「スムーヴ AB」/㈱バンダイ「マウスでクリックアンパンマンカラーパソコン」「あそんでまなべる! アンパンマン カラーパッド」「アンパンマンカラーパッドプラス」/㈱セガトイズ「ジュエルポッド」「魔法のジュエル★カラーパソコン」/㈱ベネッセコーポレーション・㈱日立製作所「調光式学びライト LED」/イケア・ジャパン㈱「MINNEN」「GONATT」㈱ジンズホールディングス「JINS PC」「JINS PROTECT」「JINS MEME」「JINS SCREEN」「チークカラー®レンズ」/

㈱オリエンタルランド「ディズニー・モバイルオーダー」/ジョンソン・エンド・ジョンソン㈱「ベビーオイル」「ベビーローション」/㈱バンダイ「プリモプエル」「おしゃべり変身モフルン」「だっこもねんねも! おしゃべりあーぷん」/㈱タカラトミーアーツ「ヒミツのクマちゃん」/㈱ワコール「女子テコ」/㈱ユニクロ「RELACO」/キユーピー㈱「やさしい献立」/㈱ニチレイ「気くばり御膳」/森永乳業㈱「やわらか亭」/

㈱ひらがなタイムズ「ヒラガナタイムズ」/㈱日本エイジェント「wagaya Japan」/外国人生活サポート機構「外国人向け家賃保証サービス」/BOOKS昭和堂/未来屋書店イオン成田店/さわや書店/㈱ドン・キホーテ/㈱ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/和光堂㈱(現・アサヒグループ食品㈱)/ピジョン㈱/コンビ㈱/ミキハウス/㈱へいあん秋田「秋田典礼会館セレモ」/イオンリテール㈱・/㈱はせがわ「イオンのお葬式」/㈱リエイ「シニア町内会まくはり館」「Riei Nursing Home」/㈱リログループ「ふろむな倶楽部」「リロキューピット」「リロファーム」「留守宅管理サービス」「CROSS WORLD

5章 質的変化に対応する「6差化」戦略

On-Co「さかさま不動産」

Ⅲ部 濃縮ニーズの掘り起こし方

6章 〝こだわり〟需要への「差延化」戦略

伊藤ハム㈱/山川醸造㈱/㈲穀平味噌醸造場/ポーラ化粧品「APEX」/トリコ㈱「FUJIMI」/さばえめがね館・東京都店/Continuer・恵比寿店(㈱コンティニュエ)/JUN GINZA(㈱ジュン)/㈱Suit yaKASHIYAMA/イッセイミヤケ「A・POC」/セーレン㈱/美津濃㈱/マルコ㈱/㈱ナイキジャパン「Nike By You」/ギルド・オブ・クラフツ/神戸靴工房PocoãPoco/㈱工房スタンリーズ/AMAT/ドゥーマンズ㈱/スズキワークステクノ㈱/㈱光岡自動車/㈲タケオカ自動車工芸/㈱トヨタカスタマイジング&ディベロップメント「トヨタモデリスタ」/㈱ホンダアクセス/日産モータースポーツ&カスタマイズ㈱/

㈱アルティメット ブルドック/㈱コッチ/美和桜酒造㈲/ニッカウヰスキー㈱/㈱LIXIL/ダイキン工業㈱/スズキ㈱/マルカワみそ㈱「手作り味噌セット」/㈲糀屋本店「手作り味噌セット」/フジッコ㈱「カスピ海ヨーグルト・手づくり用種菌」「カスピ海ヨーグルトメーカー」/リンガリンガソープ社「手作りコスメお試しセット」/mono㈱「マンデイムーン」「簡単コスメキット」/㈱トリドール 丸亀製麺/㈲林酒造場「マイブレンド焼酎づくり」/ニッカウヰスキー㈱宮城峡蒸溜所「マイブレンドセミナー」/㈱greenbrewing 煎茶堂東京「日本茶ブレンド体験キットセット」 /紗や工房㈱「アクセサリー パーツキット 初心者セット」/㈱MYmama 「手作りアクセサリーセット」/パイオニア㈱/ティアック㈱/アキュフェーズ㈱/三陽商事㈱「自遊布」/東レ㈱「トレシー」「トレシー洗顔クロス」「トレシー家じゅうキレイ」/㈱セイコーグループ「音声デジタルウォッチ」/

㈱ロッテ「ビックリマンチョコ」/㈱アトラス「プリントクラブ」/㈱バンダイ「たまごっち」/アラビア社/ノヴァ社/デュアリット社/ラッセルホブス社/エレクトロラックス社/ル・クルーゼ社/L.L.Bean「ビーン・ブーツ」/㈱リーガルコーポレーション/シチズン時計㈱「ザ・シチズン」/㈱パラボックス/㈱アゾンインターナショナル/日本ドールハウス協会「ドールハウス」/㈱エポック「シルバニアファミリー」/フルタ製菓㈱・㈱海洋堂「チョコエッグ」/UHA味覚糖㈱/北陸製菓㈱/江崎グリコ㈱「グリコのおもちゃ」「タイムスリップグリコ〈なつかしの20世紀〉」シリーズ/ジッポー「ZIPPO」/ペリカン「トレドモデル」/パーカ「デュオフォールドモデル」

7章 〝いきもの〟需要への「差元化」戦略

『千と千尋の神隠し』/『もののけ姫』/『ハリーポッター』/『ロード・オブ・ザ・リング』/「ビックリマンチョコ」/「ポケットモンスター」/ダイソー「古代エジプトグッズ」/ネスレ日本㈱「キットカット」/明治製菓㈱「ウカール」/㈱キディランド/ラッシュジャパン「バブルバー」/村岸産業㈱「ROTANDA」/アッシュコンセプト㈱「カオマル」/㈱バンダイ「∞プチプチ」「∞エダマメ」

8章 〝きまじめ〟需要への「差真化」戦略

㈱テックピット「Techpit for Enterprise」/㈱Schoo「オンライン研修」/日本ソムリエ協会/日本野菜ソムリエ協会/くもん出版「脳を鍛える大人の計算ドリル」/ヌルハウス(合)「毎日脳トレ」/HAMARU 「計算脳トレHAMARU」/日本学術会議「サイエンスカフェ」/㈱ブックマークス「勉強カフェ」/㈱シェアスタイル「ARDEN東池袋」/ボーダレスハウス㈱「BORDERLESS HOUSE」/㈱東都「x-garden桜台」/(公財)斯文会「生涯学習講座」/八王子農園・SYOKU-YABO農園「農園ウェディング」/㈱サンクゼール 斑尾高原農場「ワイナリーウェディング」/㈱メリーチョコレートカムパニー/東京都健康長寿医療センター「健康長寿のための12カ条」/㈱ドリームファクトリー「ドクターエア」/ネイチャー・コア・サイエンス㈱「トレーニングチェア・ゆらぎ」/

「四国八十八カ所霊場」「北海道三十三観音霊場」「津軽三十三観音霊場」「秩父三十四観音霊場」「九州八十八カ所霊場」/㈱スポーツ科学「アローズジム」/コナミスポーツ㈱「運動塾」/「掌陰流ステッキ術」教室/「真向法」「自彊術」「気功」「ヨガ」/サントリー㈱「BOSS休憩中」/㈱バスクリン「日本の名湯」シリーズ/クラシエ㈱「旅の宿」シリーズ/㈱武田コーポレーション「駿河なごみ湯」/環境科学「自宅湯原料シリーズ」「新潟の湯めぐり」/㈱星野リゾート・㈱伊東園ホテルズ・グループ「学タビ」

9章 〝たわむれ〟需要への「差戯化」戦略

㈱入曽精密 チタン製サイコロ「完全版」/㈱ハナヤマ「ハナヤマ ポータブル ルーレット」/ソニー㈱「PlayStation」/任天堂㈱「NintendoSwitch」/㈱SNK「NEOGEO mini」/㈱タカラトミー「ベイブレード」/㈱バンダイ「おばけ屋敷ゲーム」/㈱ハナヤマ「ステイアライブ! サバイバルゲーム」/㈱エポック「野球盤」/NPO・遊もあ/ガンホー・オンライン・エンターテイメント㈱「パズル&ドラゴンズ」/㈱ミクシィ「モンスターストライク」/「タグラグビー」「モルック」「スポーツチャンバラ」「フットゴルフ」「ボッチャ」「フレスコボール」/

㈱アドヒップ「ジャパンダンスディライト」/日本放送協会他「NHK学生ロボコン」/公財・ニューテクノロジー振興財団「全日本マイクロマウス大会」/日本漢字能力検定協会「変漢ミスコンテスト」/「LFS 池袋 esports Arena」「ROCKET e-cafe」「ESPORTS CAFÉ」/グローバス「アントクアリウム」/エレクトロニック・アーツ「シムシティ」/コミックマーケット準備会「コミックマーケット」/NPO・ボディパーカッション協会「ボディパーカッション」/㈱ソリッドアライアンスン「Crazy Earphone」/

カモ井加工紙㈱「カラフルマスキングテープ」/㈱バンダイ「ふろとも」「ゆるすた」/パイロットコーポレーション㈱「おふろDEミニカー」シリーズ/パナソニック㈱5型防水テレビ/アマゾンジャパン「Kindle Paperwhite」/「カップヌードルミュージアム」「会津喜多方ラーメン館」「キャナルシティ博多・ラーメンスタジアム」/津軽鉄道㈱「ストーブ列車」/長良川鉄道㈱「清流レストラン・ながら」/豊橋鉄道㈱「納涼ビール電車」/㈱サンアート「インテリア食器」/曙産業㈱「スリキリゆきだるまカップ」/㈱ワークマン「ワークマン」/永谷商事㈱「歴史と文化の散歩ラリー」/鈴木興産「すみだパークスタジオ」/㈱アクティビティジャパン/「志摩スペイン村パルケエスパーニャ」/「東映太秦映画村」「イマーシブ・フォート東京」「グリーンランド」/NPO・日本マイクロライト航空連盟「パワードパラグライダー」/日本カイトボーディング協会「カイトボーディング」/日本ウェイクボード協会「ウェイクボード」/

アサヒビール㈱「ビアリー」「ビアリー 香るクラフト」「ハイボリー」「ハイボリージン」/サッポロビール㈱「ザ・ドラフティ」/木内酒造(合)「ノン・エール」「ゆずジンジャーノンエール」/日本トラディショナルタイマッサージ協会「ヌアボーラン」/㈱自然堂「極楽湯」/㈱モンベル「03レインダンサー」/㈱ゴールドウイン「ザ・ノース・フェイス」/富士急ハイランド「ええじゃないか」/ナガシマスパーランド「スチールドラゴン2000」/ユニバーサル・スタジオ・ジャパン「ザ・フライング・ダイナソー」/岐阜県養老町「養老天命反転地」/奈義町現代美術館「奈義の龍安寺」/「にっぽんど真ん中祭り」/「スリーモンキーズカフェ秋葉原」「WINE & GRILL TACT.

Ⅳ部 人減先進国・日本をめざして

10章 産業を革新する「多重化」戦略

九一庵食品協業組合「九州産 木綿豆腐」 /さとの雪食品㈱「ずっとおいしい豆腐」/井村屋㈱「そのまま食べて美味しい豆腐」/男前豆腐店㈱「男前豆腐」「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」/喜平商店「五箇山とうふ」/加来豆腐店「豆腐の味噌漬」/相模屋食料㈱「合格だるま豆乳湯とうふ」/アウベルクラフト㈱「手作り木綿豆腐・温度計付きキット」/かわしま屋「豆腐手作りキット」/㈲美川タンパク「美川美人」/旭松食品㈱「小さなこうや 減塩」/相模屋食料㈱「ザクとうふ(MS06 ザクとうふ)」/さとの雪食品㈱「リラックマごゆるり絹とうふ」/㈱おとうふ工房いしかわ「スプーンで食べる究極のとうふ」/㈲五木屋本舗「山うに豆腐6種類詰め合わせ」/㈲とうふ工房矢代「一升祝い升豆腐」/㈲五感「豆富花」/㈲藤倉食品「豆腐かすてら」/

林製紙㈱「メジャー付きトイレットペーパー」「金運が上るお金シリーズ」「娯楽用おもしろシリーズ」「SDGs貢献シリーズ」「鈴木光司のトイレで読む体感ホラー ドロップ」「運のつくトイレットペーパー・シリーズ」「おもしろトイレット 英語編」「しりべんトイレット 健康編」「おもしろトイレットペーパー・シリーズ」「黒紙トイレットロール」/王製紙㈱「エリエール消臭+トイレットティシュー」/RenovaRenova Black」/望月製紙㈱「龍馬からの恋文トイレットペーパー」/王子ネピア㈱「おしりセレブ トイレットロール」/ツユキ紙工㈱「おべんきょしましょう! ことわざシリーズ」/㈱佐野包装「訴求するオリジナル・トイレットペーパー」/天文天体物理若手の会「Astronomical Toilet Paper」/丸富製紙㈱/

HAHA「グレンデール自由が丘」/NPO LEGIKA「トキワ荘プロジェクト」「多摩トキワソウ団地」/ゆめプロ㈱「しかくい空」/㈱シェアカンパニー「COURI 009 CAMP!」/㈱シェア180「DIY SHARE 180°藤が丘」/㈱リログループ「クロスワールド大森」/㈱東都「x-garden桜台」/新生地所㈱「Companheira」/㈱オークハウス「シェアリーフ西船橋グレイスノート」

以上のとおりです。

もう一度、御礼申し上げます!

2024年10月5日土曜日

『人口減少逆張りビジネス』を出版しました!

 新刊、発売されました。

人口減少逆張りビジネス』です!

人口波動法」で予測した未来社会に、「生活学マーケティング」で展望した生活需要の変化を重ね、450件を超えるケーススタディで細かく実証したものです。

従来の成長・拡大型発想を大きく超えて、飽和・濃密型のマーケティングを大胆に提案してみました。

世界中の国々が間もなく人口減少に向かう21世紀、その最先端を走る日本型生活市場の新たな構築は、「人減先進国」の目標の一つといえるでしょう。



2024年9月21日土曜日

相互扶助(mutual aid)は人間の本性なのか?

前回指摘したように、クロポトキンは、相互扶助個人的自助の二つを、人類の基本的な要素、と考えているようです。

私たちは、個人的な自助が人類の最も基本的な本性と考えていますが、そうではなく、自助と共助の両方が人類の本性である、というのです。

その論理を彼の著『相互扶助論---進化の一要素』の中で確認してみましょう。

相互扶助・個人的自助の並立説には、異論を挟む人もあるだろう。

●相互扶助が進化の一要素であるとしても、人間と人間との関係の一面を現すものにすぎない。その他に、個人の自己肯定という一潮流がある。個人的自己肯定を、進化の一要素として見るべきではないか・・・という異論だ。

●確かに、いかなる進化論もこの二大潮流を分析しない限り、不完全なものだ。

●2つの要素のうち、個人や個人の団体の自己肯定や、お互いを優越しようとする競争や闘争については、既に太古の時代から分析され、記述され、讃美されている。現に今日に至るまで、この潮流のみが、詩人や史家や社会学者の注意を引いている。

●しかし、相互扶助の方は従来全く看過されている。それゆえ、何によりもまず、この要素が動物界や人類の進歩に勤めている、大きな役目を説く必要がある。この要素が十分に認められた時に、初めて二要素を比較できるようになる。

●とはいえ、二要素の比較的価値を、 統計的などの方法によって大凡ながらも定める事は、明らかに不可能である。

●けれども、動物界では進歩的発達と相互扶助とが並行して進んでおり、扶助を忘れた、種の内部の闘争がしばしばその種の退歩時代に相当している。

人類界では、戦争や闘争の場合の成功ですらも、共に闘う各国民、各都市、 各黨派、若しくは各氏族の内部に於ける相互扶助の発達に比例する事を知っている。

●相互扶助の実効とその引続いての発達が、人類をしてその藝術と知識と理性とを発達せしむべき社會生活の諸條件を創出し、さらにこの相互扶助的傾向に基づいた諸制度の最も發達した時代が、等しく藝術や工業や科學の最も達した時代であった。

中世都市や古代ギリシア都市の内部生活の研究によって、同業組合やギリシア民族など、個人と団体とが互に相互扶助を行うと共に、聯合主義によって多大の敬意を許された時に、人類史上の二大時代、即ち古代ギリシア都市時代と中世都市時代とが現出したことが判明している。

●ところが、それに次いだ國家時代の間に、相互扶助的諸制度が破滅したため、急速な衰微の時代となった。

(『相互扶助論---進化の一要素』から、筆者が抽出・要約)

以上のように、クロポトキンは、自助と共助がともに人類の本性であるにもかかわらず、自助ばかりが学問や芸術で取り上げられ、共助についてはほとんど見過ごされている、と指摘しています。

しかし、歴史を振り返れば、共助こそが技術や芸術などを発達させ、古代ギリシア都市や中世都市など、人類史上の画期的時代を創り出した、というのです。

ところが、その後の国家制度の成立と拡大によって、共助は衰退に追い込まれた、と述べています。

国家という制度こそ人類衰退の原因」という主張は、まさしく彼の説く「無政府共産主義:anarchist communism」の論理的根拠となっているようです。

果たして「相互扶助:mutual aid」は、そこまで人類の本性なのでしょうか。

クロポトキンの歴史観や政治思想の妥当性を探るため、もう少し彼の主張を眺めていきましょう。

2024年9月7日土曜日

クロポトキンの「相互互恵制」とは・・・

経済人類学者のK.ポランニー18861964)の主張する「互酬制」(Reciprocity)を読んでいると、ロシアの政治思想家、P.A.クロポトキン18421921)の「相互扶助=互恵制(mutual aid)」と比較したくなります。

そこで、クロポトキンの著作『相互扶助論---進化の一要素』(大杉榮訳,1927年刊)によって、その概要を探ってみましょう。



まずは概略から。

動物界では、個人的闘争をできるだけ少なくし、相互扶助的な習慣を最も多く発達させている動物の種が、個体数が最も多く、最も繁盛し、且つ最も進歩に適している。

相互の保護と、老齢で経験を積む可能性と高度の知識的進歩と社交的習慣の發達は、その種の維持と繁殖と進歩的進化を保障する。だが、非社交的な種は衰微する。

人類界では、石器時代の最初から、人々が氏(Gens:部族)や氏族(Clan)で生活をしており、その中で生まれた多数の諸習慣が、その後に進歩して、あらゆる制度の萌芽となった。

●いかなる先史人の問にも、相互扶助を目的とする人間の協力関係と、同じような種族的生活を見出すことができる。

先史人の氏族から野蛮人の共産村落が生まれ出た。民會(議決機関)の支配の下に、共同で土地を所有し防護するという原則を基礎に、共同祖先に属する村落連合という、より広い集団へ拡がった。

●更に人類は、共産村落という領土的單位と同業組合とを結び付けた都市を創設した。 同業組合とは、ある技術又は工作を共同して営むために造られた集団である。

●しかし、ローマ帝国のような国家の発達が、あらゆる相互扶助的制度を猛烈に破壊した。けれども、個人の散漫な集合を基礎に、自らが個人の結合の唯一の縁になろうとした国家は、その目的を果す事ができなかった

相互扶助的傾向は再び頭もたげ、無数の団結の中に確立していった。こうした団結は、今や社会生活のあらゆる方面に及び、人類がその生活のために必要な、一切のものの所有を企てている。

(以上は『相互扶助論---進化の一要素』から筆者が抽出・要約)

クロポトキンは、相互扶助個人的自律の二つを、人類の基本的な要素と考えていたようです。

中世までは両者が並立してきましたが、近代になるにつれて相互扶助が弱まってきました。

だが、近年になって再び復活している、と言っています。

その主張をさらに検討していきましょう。

2024年8月24日土曜日

生存保障は互酬制から始まった!

1人の人間の生存権保障は「原始共産制」が原点である、というF.エンゲルスの主張については、さまざまな角度から批判がされています。

古代社会のモデルとして引用しているL.H.モーガンの社会像が、必ずしも確定されたものではなく、それ以外にもさまざまな社会が存在していたことが、その後の調査・研究によって判明してきたからです。

こうした指摘を受けて、経済人類学者のK.ポランニー18861964)もまた原始共産制を否定し、より広い視点から「互酬制Reciprocity」の存在を指摘しています。その論理を要約してみましょう。

●未開人が個人主義者、自然のままの利己主義者、物々交換や交易や取引を行う者、自給自足者であった、という証拠はなかった(P.マリノフスキーとR,トゥルンヴァルトの指摘)。

●未開人は共産主義的な心理をもっているとする伝説、 つまり、 自己の個人的利害に無であるという想定も疑わしい。「共産主義」のようにみえたのは、生産システムや経済システムが、通常、いかなる個人も飢餓に脅かされないように案配されている事という事実によるものであった。

●「おおざっぱにいうと、どの時代の人間も大して変わらないように思われるようになったのである。制度を個々別々にではなく、相互関係で捉えてみると、ほとんどの人間が、われわれに大体理解できるような行動様式をとっていることがわかったのである。」 (訳文のまま)

●ある個人が座る、焚火宴での位置、共有資源の取り分などは、彼が狩猟や牧畜や農耕栽培でどのような役割を果たすことになっているかに関わりなく、確保されている。 実例を2、3あげてみよう。

●カフィール族(ヒンドゥー・クシ山脈南斜面に住む山岳民族)の「クラールランド制度」のもとでは、「窮乏生活はありえず、援助が必要なら誰でも問題なくそれを受けられる (L.P.Mair,An African Ponte in the Twentieth Century,1904)

クワキウトゥル・インディアン(北アメリカの北西海岸インディアン)にも「少しでも飢えの危険を増すものはいない (E.M.Loeb,The Distribution and Function of Money in Early Society.1936)

●「最低生活水準で生活している社会には飢餓はない (M.J.Herskovits,The Economic Life of Primitive Peoples,1940)

●要するに、共同体全体が飢餓の苦境に陥らなければ、個人が飢餓の危険に陥ることもないのである。

(「時代遅れの市場志向」:『経済の文明史』平野健一郎訳から抽出)。

以上のような論説の意味するところは、この世に生まれてきたベビーは、母や父の保護下で命を守り、その親たちもまた所属する共同体によって、暮らしを守られている、ということでしょう。

人間集団には、1人の人間の生存を保障する互酬制度(Reciprocity)が、原始社会から存在したのだ、という主張です。 


同じような主張は、ロシアの政治思想家、P.A.クロポトキン18421921)の「相互扶助=互恵制(mutual aid)」にも見られます。 どこがどう違うのでしょうか。

2024年8月8日木曜日

人間は生まれた時から人生を保障されていたのか?

グローバル・レシプロシティー考察する前提として、地球上に生まれてきた、1人の人間の生命はどこまで保障されてきたのか、を考えています。

基本的には、他の生物と同様、一旦生まれた以上は、自然環境の許容量の範囲で、可能な限り生き続けることができるものだ、と思います。

当ブログの視点でいえば、人間も一旦生まれた以上は、人口容量の範囲内で生き続ける権利がある、とでもいえるでしょう。

しかし、現代社会の諸相を鑑みると、先進国の貧困層や途上国の下層民などには、必ずしもこうした権利が認められているとは思えません。

大都市での孤独死や飢饉国での大量餓死など、やむをえないとはいえ、あちこちで発生しているからです。

科学技術が進歩し、社会・経済構造もまた高度化したとはいいながら、こうした事態が未だに発生しているのは、人類社会がほとんど進展していないからかもしれません。

果たして人類は進展してきたのでしょうか。今一度、その歴史を振り返ってみたいと思います。

地球上に生まれた、一人の人間が生きるための生活資源はどのように保障されてきたのでしょうか。

古代の原始社会において、生まれてきたベビーは、どのような人に、どのような資源で育てられたのでしょうか。

当時の社会構造については、さまざまな見解があります。

代表的な意見としては、19世紀、プロイセン王国の社会思想家、.エンゲルスの『家族・私有財産・国家の起源』(1884年)があります(岩波文庫:戸原四郎訳)。

この著では、家族と私有財産の推移を、同世紀のアメリカの文化人類学者、L.H.モーガン『古代社会』(1877年)の見解を引用しつつ、次のように述べています。

➀モーガンは人類の先史を「野蛮」「未開」「文明」という3つに分けている。

②エンゲルスは、この区分を「野蛮時代」(人間は制作した補助道具で天然産物を手に入れた時期)、「未開時代」(牧畜と農耕によって天然産物の生産を高めた時期)、「文明時代」(天然産物の高度な加工を習得した時期)に整理している。

③モーガンは家族の発展史を「無規律性交集団」(男子と女子の集団婚)、「血族婚家族」(世代によって継承される婚姻集団、家族の第1段階)、「プナルア婚家族」(姉妹と兄弟を相互性交から除外した血族集団)、「対偶婚家族」(たやすく解消できる、ゆるやかな一夫一婦集団)、「一夫一婦婚家族」(父親から子どもへ財産を確実に継承させ、勝手に解消はできない婚姻集団)の5段階と主張している。

④5段階説を引き継いで、エンゲルスは、「野蛮時代」には「集団婚」「未開時代」には「対偶婚(一夫一婦制への進化過程)」「文明時代」には「一夫一婦婚」の、3つがそれぞれ主要な婚姻形態となった、と整理している。

➄そのうえで、 私的な生活資源、つまり私有財産について、野蛮時代の集団婚では、母系制共同体での共有であったが、未開時代の対偶婚になると、農牧業の発達で土地や家畜などが男系制家族の私的所有へ移行した、と述べて、これを私有財産の原点としている。

以上のような論説によれば、一人の人間の生活資源は、未開時代には母系共同体で保障されていましたが、それ以降になると、男系家族の主導者たる祖父や父親の私有財産に委ねられていった、ということになるでしょう。

前者がいわゆる「原始共産制」とよばれる制度であり、マルクス主義の唯物史観において、5つの発展段階の最初の段階とされているものです。

これに従えば、一人の人間の生存権保障の原点ともいえますが、果たしてこの主張は正しいのでしょうか。

モーガンの見解にも、エンゲルスの主張にも、すでにさまざまな反論があり、必ずしも正論とはいえないようです。

2024年7月24日水曜日

グローバル・レシプロシティーの前提を考える!

グローバル・レシプロシティーを構築する前提として、22世紀の国際的な経済構造を考えています。

現在の市場経済制度の存続が前提になるとは思いますが、果たしてそれでいいのでしょうか。

私たち現代人のほとんどは、資本主義や自由主義に代表される市場経済を普遍的な社会構造であり、その存続を疑うことすらありえない、と思っているようです。

確かに人類社会がさまざまな経済制度の更改を繰り返しつつ、ようやく辿り着いた制度であることは、疑いのない事実かもしれません。

だが、本当に変えられないものなのでしょうか

人類史を振り返ってみると、必ずしもそうではないのでは、という疑問も芽生えてきます。

そんなわけで、ここ3カ月の間、原稿を書き続けながらも、買い集めた蔵書の中から関連する資料を漁ってきました。

ギリシア、ローマ時代の哲学者の論説から、近・現代の古典経済、近代経済、社会主義などの著名学者の著作まで、一通り目を通してきました。

しかし、これらのほとんどが市場の存在を、人類の基本的な経済構造と見なしており、その興廃などについては、ほとんど触れてはいませんでした。

そんな中でただ一つ、「市場は社会の従属物にすぎなかった」という所説に出会いました。

このブログでも何度も触れている、経済人類学者のカール・ポランニー(18861964の「時代遅れの市場志向」(平野健一郎訳)という論文の中でした。



この中でポランニーは、20世紀前半のさまざまな所説を紹介しつつ、市場はもとより経済という制度もまた、社会という全体構造の中の一つにすぎない、と述べていました。

彼によると、「19世紀の第2・4半期より前のいかなる時代をとっても、市場は社会の従属物にすぎなかった」というのです。

というわけで、ここ暫くは、私たち個々の人間が生活の大前提にしている市場制度の歴史について、ポランニーの所説を再検討していきたいと思います。 

2024年4月23日火曜日

変化は生産構造から経済構造へ!

グローバル・レシプロシティーの構築プロセスを考える前提として、「次の時代、工業後波の生産構造や経済構造はどうなるか?」を検討しています。

前回述べた人口波動の前期と後期の関係から推理すると、世界人口が再び増え始めると予想される、22世紀の「工業後波」では、【ル・ルネサンスは工業後波をめざすのか?】に示した如く、次のような特性が予想できます。

識知では、科学(Science)から統合的科学(Omniscienceへ進展します。

技術では、粗放的機械生産から集約的機械生産へ進展します。

生業で、工業・分業化から工業・統合化へ移行します。

共同体では、企業・都市・国家から3団体+新共同体へ移行します。

時代識知では、現代の分節・分析型科学から、合節・統合型科学への転換が進んでいきます。

それに伴って、生産技術においても、ハード中心であった物的生産技術から、人工知能や制御技術の主導する知的生産技術への転換が進みます。

となると、生産構造においても、食糧・資源はもとより生活資材や社会機能、さらには教育・医療・情報などのサービスに至るまで、人間主導労働から知産主導労働への転換が進んでいきます。

人間の労働力が中心であった生産構造から、知的生産物の労働比重が高まる構造へと、大幅な移行が進むというわけです。

こうした展望を前提にすると、生産を担う共同体としても、これまでの企業はもとより、税による再配分を担う国家や都市に加えて、新たな生産共同体への期待が高まってきます。

おそらくそうした共同体の一つが、グローバル・レシプロシティー(地球的互助組織)として成長していくものと思われます。


もしもこのような展望が可能であれば、これらの生産構造を支えていく経済構造においても、現代社会の基礎を支える資本主義には、かなりの変化が求められるのではないでしょうか。

2024年4月12日金曜日

新たな生産構造を考える!

グローバル・レシプロシティーの構築プロセスを考えようとしていましたが、その前に「次の時代、工業後波の生産構造はどうなるのか?」とのご質問をいただきました。

ご指摘の通り、互助団体が動き出す前に、100年後、地球民の生活資源をどのように創り出していくのかが、まずは問われるべきでしょう。

そこで、ル・ルネサンスが目指すべき、新たな生産構造を考えてみます。

現代社会、つまり工業現波の生産構造の基本は、科学技術文明を応用した工業的生産形態です。農業・水産物から工業・製造物はもとより、サービス・情報に至るまで、ほとんどが工業技術をベースに生産されています。

となると、次の波動、工業後波の生産構造は、どのように変化していくのでしょうか。

筆者の提唱する「人口波動説」では、前波と後波の間には一定の継承・発展関係が存在する、と考えています。

世界の人口波動でみると、石器文明による石器前波と石器後波、農業文明による農業前波と農業後波において、生産構造には粗放と集約の関係が見られます。

人口波動の流れで読む!】に示したように、4つの波動は次のような生産構造を持っています。

●石器前波・・・旧石器と地縁・血縁による狩猟・採集生産

●石器後波・・・新石器+土器と地縁・集落による狩猟・採集・耕作生産

●農業前波・・・粗放農業と村落・町衆による粗放的農耕・牧畜生産

●農業後波・・・集約農業と都市・国家による集約的農耕・牧畜生産

このような関係を前提に、現在の工業現波を「工業」、次の波動「工業」と考えると、両者の間には次のような関係が予想できます。


工業前波・・・粗放的機械生産と企業・都市・国家による工業・農業等分業生産

工業後波・・・集約的機械生産と企業・都市・国家・新共同体による工業・農業等分業生産

より具体的にいえば、現在の生産構造を主導しているのは、企業という社会集団であり、それを支えているのは「資本主義」という経済原理です。 

これが工業後波になると、企業という集団と資本主義という主導原理はどのように変わっていくのでしょうか。

しばらくは、このテーマを考えていきます。