少子化=少産化対策の効果を計るため、巨視的背景を考えています。
人口容量の満配化と個人容量の持続願望によって、何が起こっているのでしょうか?
両面からの圧力によって、人口抑制装置が作動しているのです。
人口抑制装置とは、【人口抑制装置が作動する】で述べたように、R.マルサスが提起した「能動的抑制(主として窮乏と罪悪)」や「予防的抑制(主として結婚延期による出生の抑制)」を継承し、筆者が再構成したものです。
「人口容量」への負荷が強まるにつれて、増加を抑制する行動が徐々に作動するしくみ、とでもいったらよいのでしょうか。
現代日本においても、人口が人口容量の上限1億2800万人に近づくにつれて、この装置が作動してきました。生理的(生物的)抑制装置あるいは文化的(人為的)抑制装置として、人口増加を抑えようとしてきたのです。
生理的・文化的抑制装置とは何なのか、具体的な事例については、上記のブログで紹介しています。
それらの中から、現代日本の人口抑制に関わる装置を抜き出したものが、【人口抑制装置が的確に作動した! 】で取り上げた下表です。
この表には、増加抑制装置と減少促進装置が含まれていますが、少産化という現象に関わるのは前者ですから、そこに含まれる現象の実態を確かめてみましょう。
●生物・生理的抑制
◆生殖能力低下=不妊症増加
下図に示したように、50歳未満の初婚間夫婦の間では、不妊を心配する比率が、2002年の26%から2021年には39%へ上がっています。
下図に示したように、若年層の性交経験率は、人口ピーク時の2005年あたりを境に急速に低下し始めています。
◆直接的抑制では、夫婦間の理想子ども数が、下図に示したように、1987年の2.67人から2021年には2.25人にまで低下し、予定子ども数も1987年の2.23人から2021年には2.01人にまで落ちています。
◆間接的抑制では【まず増加抑制装置が動いた!】で示した通り、結婚の抑制、子どもの価値の低下、家族の縮小などが進んでいます。
◆政策的抑制では【出産奨励策は期待できるのか?】で述べた通り、出産奨励策がほとんど機能していません。
以上のように、出生数急減の要因を巨視的背景から見ると、2000年代初頭から人口容量が満杯に近づいたため、人口抑制装置が生理的(生物的)、文化的(人為的)の両面から作動した、という実情が浮かび上がってきます。
これこそが、少産化の進む、本当の要因なのです。
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