少子化=少産化対策の効果を計るため、巨視的背景を考えてきました。
3月末に政府が少子化対策の叩き台「子ども・子育て政策の強化について(試案)」を発表しました。幾つかの対策案が提案されていますが、これらの政策で少子化=少産化が本当に克服できるのでしょうか。
叩き台ではおよそ30の項目が提案されています。その要点をまとめてみると、下図のようになります。
➀経済的支援の強化
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➁子育てサービスの拡充
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③働き方改革の推進
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④意識改革
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これらの政策で少子化の克服、つまり出生数の回復はできるのでしょうか。
一読してわかるように、叩き台の30項目のほとんど全てが、先に分析した直接的背景のうちの「夫婦間少産化」に対する対策ということになります。
しかし、過去50年間を振り返ると、1970~2020年の間に、出生数は209万人から84万人へと、40%台に落ちています。
その背景には、女性の出産可能人口(15~49歳)が85%へ、婚姻件数が48%へ、夫婦内少産化が86%へ、それぞれ落ちているという事情がありました。
夫婦内少産化以上に、出産可能人口や婚姻件数の減少が大きく影響していることがわかります。とりわけ婚姻件数の低下が最も強く影響しています。
しかし、今回の少子化対策の叩き台では、婚姻件数への対応はまったく触れられてはおりません。
とすれば、どれほどの効果があるのでしょうか。
莫大な予算を投資する意味が果たしてあるのでしょうか?