少子化=少産化対策の効果を計るため、子どもの減る現象、つまり少産化の背景を分析しています。
社会・経済的背景のうち、前回の経済的背景に続き、今回は社会的背景を考えてみましょう。
社会状況では、晩婚・非婚化、核家族化、平均寿命延長、大都市集中などが少産化の原因となっています。
●晩婚・非婚化
結婚に対する意識が大きく変わり、晩婚化や非婚化が進んでいます。
➀未婚率は男女とも1950~2000年は徐々に上昇してきたが、2000年以降は大幅に高齢化が進み、特に男性で急上昇している。 ②40~44歳の未婚率は、男性が2000年の18.7%から2020年の32.2%へ、女性が2000年の8.6%から2020年の21.3%へ上がっている。 ③その結果、生涯未婚率(50歳時の未婚率)は、男性が1950年1.5%から2020年25.7%へ17.1倍、女性は1.4%から16.4%へ11.7倍になった。 |
結婚に対する価値観の変化は、そのまま少産化の大きな背景となっています。
●核家族化
家族構成の変化により、出産や子育てに対する意識の偏在化も進んでいます。
➀3世代などの拡大家族は、1970年の23.0%から2015年に9.5%で10%を割り、2020年には8.3%にまで落ちている。 ②核家族(夫婦や親子だけで構成される家族)は、1970年の56.7%から1980年に60.3%までは増えたが、2020年には55.9%にまで落ちている。 ③単身世帯は、1970年の20.3%から1995年の25.6%を経て、2020年には35.7%にまで上昇している。 ④単身者と夫婦のみの合計は、1970年の30.1%から1995年の43.0%を経て、2020年には56.2%と大幅に上昇している。 |
全世帯の半数以上が無子世帯となったことが、少産化を大きく進めています。
●平均寿命延長
平均寿命の延長で人生の設計が変わってきたことも、少産化を進めています。
➀女性の平均寿命は、戦前の44~49歳から、戦後は1947年の54歳へと上がり、その後も1960年に70歳、80年に79歳、2000年に85歳、2020年に88歳と大幅に上昇しています。 ②男性の平均寿命も、戦前の43~47歳から、戦後は1947年の50歳へと上がり、その後も1960年に65歳、80年に73歳、2000年に78歳、2020年に82歳と順調に上昇しています。 |
寿命の延長、つまり長寿化の進行によって、結婚年齢が上昇し、出産年齢も上がることで、少産化が進んでいます。
●大都市集中
大都市圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県)では、未婚率が高く、合計特殊出生率が低いため、人口分布でこれらの比重が高まると、少産化を促進することになります。
➀大都市圏の人口比重は、戦前の29~35%から、戦後は1950年に30.2%、60年に35.5%、80年に43.6%、2000年に45.3%、2020年に48.6%上がっている。 ②50歳時の未婚割合を見ると、男性では兵庫、女性では愛知を除いて、他の7都府県が上位22地域内に入っている。 ③合計特殊出生率では、兵庫、愛知を除く6地域が全国平均を下回っている。 |
以上のトレンドによって、大都市化が進めば進むほど、結婚が遅れ、出産が減ることがわかります。
これまで取り上げた4つの社会的事象が、直接的背景にどのように影響するかを整理してみると、下表のようになります。
社会的背景では、結婚・夫婦数減少と夫婦内少産化に対し、より強く影響しているといえるでしょう。
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