2022年1月4日火曜日

イスラム教の識知観・・・人口波動で考える!

農業後波を作動させた時代識知として宗教(Religionを取り上げ、仏教、キリスト教、ヒンドゥー教に続いて、今回はイスラム教を考えてみます。

イスラム教は、610年、アラビア半島の西部、ヒジャーズ地方メッカの住人、ムハンマドが唯一神アッラーの啓示を受けて創始した宗教です。

啓示を集録した経典を「コーラン」と名づけ、信仰(イーマーン)義務(イバーダート)に分けて説明しています。

コーランに現れた、イスラム教の識知観を「識知としての宗教」で述べた、宗教の3条件で抽出してみましょう。


開祖等による記号的観念体系の提唱
独創的な開祖ムハンマドが提起した、唯一絶対にして全知全能、天地万物の創造者・支配者である神(アッラー)の啓示を、聖典コーランという、具象的な“記号”言語次元の観念体系で表現したうえで、「イスラム(神の意志や命令に絶対に服従すること)」として提唱しています。

②観念信仰の集団幻想化

イスラムの信仰を共有し実践する「ムスリム(イスラム教徒)」による、独自の「共同体(ウンマ)」を創造したうえで、周辺のアラブ諸部族へと拡大し、やがてアラビア半島のほぼ全域に広めています。

③組織・制度の社会的装置化

イスラム信仰は、何をなすべきか、どのように行動すれば神意にかなうのか、という具体的な行為規範であったため、神学よりも法学が高度に発達しています。それゆえ、イスラム信仰を維持・継承する共同体的形態となって、次第に治世方式や社会体制など、国家的な共同形態をめざすようになります。

以上のような識知観の登場により、イスラム教もまた集約農業を基盤とする農業後波を生み出していきます。

もっとも、アラビア半島は乾燥気候のため、荒涼たる砂漠や痩せた草地が多く、農耕には不適でした。

しかし、南部イエメンの高地では雨が多く、また砂漠のオアシスなどでも、それぞれ高度な農業が営まれていました。

現在でも半島の大半は砂漠であり,駱駝や羊などを伴った遊牧民の数が多いとはいえ、人口比率ではオアシス農民のほうが多いようです。

このように見てくると、イスラム教もまた仏教やキリスト教と連帯して、宗教という時代識知を形成し、農業・牧畜業の集団生産化によって、新たな人口容量を創り上げていった、といえるでしょう。

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