2020年5月8日金曜日

スペイン風邪と比べられるのか?

今回のコロナ禍(COVID-19)を100年前のスペイン風邪と比較して、影響の規模や対策のあり方などをさまざまに議論する風潮が、マスメディアやネットワーク上で拡大しています。

スペイン風邪(スペインインフルエンザ)は1918~1919年に流行したパンデミックで、全世界の患者数は約5億人、死亡者は4,000~5,000万人と推計されていますが、一説には1億人に達したともいわれています(
国立感染症研究所)。

この時の第1波は1918年の春、アメリカとヨーロッパで始まり、同年の晩秋から冬に第2波として世界中へ広がり、さらに1919年の春から秋の第3波へと続いていきました。

以上のような汚染規模や流行時期から見ると、確かに今回のコロナ禍の先例として、影響や対応などを参考にすることも必要かとも思われます。

しかし、より長期的
人口波動の視点から見ると、この現象は必ずしも参考にはならないのではないでしょうか。

というのは、下図で見るように、スペイン風邪が工業現波(1400~2100年)の離陸期に起こった現象であるのに対し、今回のコロナ禍は高揚~飽和期に襲ってきた厄難であるからです。  
 

各時期については【個別波動は6過程を進む!:2019年1月6日】で、次のように述べています。
 
離陸期・・・新しい文明が自然環境の利用を開始するにつれて、出生数が上昇し始め、死亡数が低下し始める時期

高揚期・・・一つの文明が自然環境の利用を拡大する速度がやや落ちて、出生数が微減し、死亡数が微増し始める時期

飽和期・・・一つの文明による自然環境の利用が飽和するにつれて、出生数が停滞し、死亡数が増加し始める時期

つまり、スペイン風邪人口が急上昇し始めた時期の現象であったのに対し、コロナ禍の方は人口増加の最後、あるいは停滞の開始する時期に起こった事変だ、ということです。

スペイン風邪の影響をより詳しく眺めて見ると、下図に示したように、人口動態には僅かな停滞を与えただけで、ほとんど影響していない模様です。





これに対し、コロナ禍は世界人口の飽和化を示唆する時点です。
(上の方の図の人口波動曲線は国連の人口予測=2019年の低位値をベースにしており、飽和期がずれる可能性もありますが、人口動態が横ばいへ向かいつつあることは否定できません。)

このように考えると、コロナ禍は今後、世界各国の社会・経済・政治などに大きな影響を及ぼし、それぞれの人口を大きく停滞させるばかりか、減少させる可能性もまたはらんでいます。

要するに、スペイン風邪が人口動態にほとんど影響しなかったのに対し、今回のコロナ禍は世界の人口動向にもかなりの影響を与えることが予想されるのです。

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