2019年12月26日木曜日

擬人化で自然環境を活用する!

ミソロジーの5つの特徴のうち、⑤自然現象を応用する人間活動の経緯、を要約してみると、以下のようになります。

さまざまな神話の中には、多様なエネルギーの採集・利用・転換法などの識知的理解を促すものが数多く含まれており、これらが意味するのは、自然エネルギーを農耕・牧畜などへ転換させる際の、最適な対応方法を模索していることだ、と思われます。

そこで、この特性について、もう少し詳しく展開してみましょう。

第1に自然環境神々という主体に擬人化したことにより、人類とのさまざまな関わり方が細かく示唆できるようになりました。

第2には、人類が神々=自然環境に対して、より積極的に働きかける、さまざまな行為の可能性や、その影響が的確に述べられるようになりました。

第3に、人類が多様な人間集団という活動主体となって、さまざまな自然条件へ関わることにより、自然環境もまた作り直されていく可能性が生まれてきました。

以上のような経緯により、ミソロジー(mythology)リレーショナズム(relationalism:万物関係観)という時代識知が醸成されていくにつれ、人間集団が与えられた自然環境を積極的に活用して、循環的な農耕定着的な牧畜などを継続することができるようになりました。

 




それこそが、農業前波の人口容量に拡大可能性をもたらした、新たな時代識知の力だったといえるでしょう。

2019年12月14日土曜日

擬人化・文章化で関係性を把握する!

ミソロジーの5つの特徴のうち、今回は③多様な現象を擬人化した主体群による複合的物語、④自然と人為の相互関係を識知、を要約してみると、以下のとおりです。

③多様な現象を擬人化した主体群による複合的物語・・・自然現象、動物、植物などを“擬人化”した、多様な主体によって、喜怒哀楽、対立和睦などさまざまな相互関係を説明しています。

自然と人為の相互関係を識知・・・多くの神話では、自然環境に対する人類の対応作法を“文章”として述べています。

この2つについては、次のように展開できます。

第1は自然現象の擬人化です。

身分け能力が捉えた環境世界の自然現象の動きを、人間集団内部での喜怒哀楽といった相互関係に見立てて、そのアナロジーとして言語化しています。

第2は擬人化した自然現象に対する、人間の関わり方です。

天体、気象、動物、植物など人間以外の諸物を擬人化することにより、それらに対する人間の能動行動と受動行動を、言語によって表現しています。

第3は文章化による関係性の把握です。
人間の言分け能力は、擬人化された万物をまずは“単語”化し、次にそれらを繋ぐ、さまざまな関係を“文章”化によって表現しています。

この作用により、人間の行動が自然現象に影響を与えるとともに、それらの反応が人間に対して及ぼす、さまざまな影響という相互関係が表現されることになります。

こうしてみると、ミソロジーとは、擬人化と文章化によって、環境世界全体と人類の関係性を現そうとする、人間の英知ともいえるでしょう。


その意味でいえば、ミソロジー(mythology)という時代識知は、広義でのリレーショナリズム(relationalism:万物関係観)というべきかもしれません。


2019年12月4日水曜日

“象徴”言語が創り出す世界

ミソロジーの特徴を前回5つ分けて説明してきましたが、最初の2つ、①環境世界を言語で理解する観念的装置と②元型・象徴で構成する文章・物語、を要約してみると、以下のとおりです。

①環境世界を言語で理解する観念的装置・・・私たち人類は、周りの環境世界を、おのれの感覚能力によって「身分け」し、続いて言語能力によって「言分け」することで、それなりに理解していますが、ミソロジーは、そうした「言分け」行動の、最も始原的な段階です。

②元型・象徴で構成する文章・物語・・・認知世界の無意識的なドラマを、既成の言語体系が形成される以前の未言語段階、あるいは前言語段階の意味体系である「シンボル(象徴)」の連鎖によって表現したものです。

この2つについては、次のように展開できます。

 

第1は「言分け」能力で複合的に理解すること。 
ディナミズム(dynamism・・・動いている、あらゆる物体に対して、生き物や生命を感じる識知観)」や「インモータリズム(immortalism・・・動いている諸物の主体は、すべてが意思を持ち、生死を超えた、不可視の存在であるという識知観)」に対して、

ミソロジーは、「見分け」の捉えた環境世界の動態を、単純な動きとして理解するのではなく、単語や文章という「言分け」能力によって、さまざまな主体の絡み合った複合動態として捉えています。

第2は「言分け」の始原的な“象徴言語”段階であること。

ミソロジーとは、「身分け」された対象を「言分け」しようとする「言葉」そのものが、意味が固定化され、明確な表象を示す“記号”言語ではなく、それに至る以前の“象徴言語”で作られています

いいかえれば、「身分け」構造が捉えた万物、例えば太陽や月、雲や風、海や川、大樹や草花、獅子や脱兎、英雄や美女などの対象を、直観的なイメージに置き換え、さらにそれらを象徴的な音声=単語として表現たものといえるでしょう。

第3に「象徴言語=単語」を組み合わせた「文章=物語」であること。

ミソロジーとは、第1と第2の特性を組み合わすことで、「身分け」が捉えた、環境世界の複雑な構造を“記号”的言語に至る以前の“象徴”的言語によって、複合的に表現した文章=物語といえるでしょう。

3つを要約すれば、ミソロジーとは、「身分け」が捉えた環境世界を、象徴的な「言分け」によって言葉に置き換える「時代識知」なのです。