世界波動とまったく同じように5つの波動が読み取れるのは、そのこと自体がいずれの地域においても、人間が自然環境に対して、ほぼ同様の対応をしてきた結果を象徴していると思います。
もっとも、両者を比べてみると、世界波動では農業前波と農業後波の境界が比較的明確ですが、日本波動においてはやや曖昧となっています。農業前波と農業後波の間に明確な谷間が見られません。
どうやら日本列島においては、粗放農業から集約農業への移行が大きなショックもなく、比較的滑らかに行われたものと思われます。
歴史を振り返ってみると、12~14世紀に相当する期間ですが、この時期には農業技術の進展が緩やかに進んでいました。
鎌倉時代に始まった二毛作や鉄製農具の普及などが、室町時代になると惣村の連合や惣百姓の自立とともに各地に浸透し、農業生産が次第に増加し始めているからです。
そこで、農業前波と農業後波の境界を1300年前期ころに設定しました。
1300年前期とは、鎌倉時代(1185~1333年)から建武の中興(1334~1335年)を経て南北朝時代(1336~1392年)へ至る移行期です。鎌倉時代が終焉し、室町時代が開始した時期ともいえるでしょう。
こうして日本列島の人口波動を5つとして把握すると、世界波動と同様に、人口容量が〔V(人口容量)=n(自然容量)×C(文明)〕という式で拡大してきたことがわかります。
〔日本列島の人口容量=列島の自然容量×文明〕によって、5つの波動が生まれたということです。
5つの波動と成立要件については、すでに【日本人口の5つの波】(2015年7月28日)で述べていますが、それぞれの波動については、次のような特性が指摘できます。
•紀元前3万年に始まる「石器前波」
•前1万年に始まる「石器後波」
•前500年ころに始まる「農業前波」
•西暦1300年ころに始まる「農業後波」
•1800年ころから始まる「工業現波」
・・・「旧石器文明」に基づいて成立した約3万人の波
•前1万年に始まる「石器後波」
・・・「新石器文明」によって形成された約26万人の波
•前500年ころに始まる「農業前波」
・・・「粗放農業文明」で作られた約700万人の波
•西暦1300年ころに始まる「農業後波」
・・・「集約農業文明」で新たに作りだされた約3250万人の波
•1800年ころから始まる「工業現波」
・・・「近代工業文明」で作られた約1億2800万人の波
以上に述べた世界波動と日本波動の実証・・・これこそが人口波動説のオリジナリティーの第7、長期的な人口の推移は「多段階人口波動曲線」を辿ることの趣旨です。
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