2018年6月10日日曜日

トイレットペーパー、広がる記号化!

選択的願望の代表的な事例が「欲望」願望です。

「欲望」とは何かを考えるためには、私たち生活民の生活構造やその背後にある心理構造を理解しておかなければなりません。

そこで、筆者のもう一つのブログ「
生活学マーケティング」に立ち戻り、生活願望論の要点を整理しておきましょう。

➀私たち
生活民の、さまざまな生活願望が生まれてくる源泉には、筆者が「生活体」と名づけた心理構造があります。

②生活体の基本的な構造は、縦軸(感覚・言語軸)、横軸(個人・社会軸)、前後軸(真摯・虚構軸)
3つの軸です。

③縦軸には、モノ界(感覚界)―モノコト界(認知界)―コト界(言語界)という、3つの世界があります。

④3つの世界から
3つの生活願望が発生します。コト界から生まれる非自然的な願望が「欲望」、モノコト界から浮かびあがる純生物的な願望が「欲求」、モノ界とその外側のカオスの間から噴出する願望が「欲動」です。

⑤「
欲望」とは言語=記号界から生まれる願望であり、言語、記号、意識、理性、観念、物語などを求めるものです。いいかえれば、感覚のとらえた世界を言語化(コトアゲ)によって、観念に変えていこうとするものです。

⑦「欲望」願望を満たそうとする供給対策が「差異化」です。差異化は、商品やサービスのうえに、言語やイメージなど、さまざまな「記号」を載せて、新規性や異質性を訴求する手法であり、具体的にはカラー化、デザイン化、ネーミング化、ブランド化、ストーリー化などが含まれます。

以上の視点からみると、前々回述べた「必需的需要」に対応する「新機能の付加」は、「欲求」に対応する「
差別化」手法ということができます。

これに対し、「選択的需要」に対応する手法の一つとして、まず「差異化」手法をあげることができます。

トイレットペーパー業界ではすでにさまざまな「差異化」製品が供給されていますので、代表的な事例をあげておきましょう。



カラー手法・・・ブラック・トイレットペーパー
●“Renova Black”(世界初の黒いトイレットロール)(Renova社=ポルトガル、1巻価格・税込み324円)
●ブラックロール(大昭和紙工産業㈱、同239円)
●黒紙トイレットペーパー(林製紙㈱、同194円)

デザイン手法・・・花柄トイレットペーパー
●「Hanataba プレミアム」(丸富製紙㈱、同40円)
●花いっぱいトイレットペーパー(コアレックス㈱、同33円)
●エルビラ[バラ](四国製紙㈱、同70円)

デザイン手法・・・ユニーク柄トイレットペーパー
●黒ゼブラ柄トイレットペーパー(イズミコーポレーション㈱、同250円)
●やっぱり猫が好き(猫の足跡)(林製紙㈱、同130円)
●動物柄ラッピングトイレットペーパー・パンダ(服部製紙㈱、同270円)

機能的な革新や改良に加えて、美的趣味や愛玩願望に対応する、以上のようなトイレットペーパーが出現する背景には、やはり人口減少時代の生活民の心理状態が反映しているのではないでしょうか。

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