2017年11月9日木曜日

人口容量のゆとりが抑制装置を緩める!

人口減少の進行で人口容量にゆとりが生まれた時、人口が回復するか否かについて、さまざまな視点から眺めてきましたので、一度ポイントを整理しておきましょう。

人口容量と人口抑制装置の基本的関係は【
人口減少は極めて〈正常〉な現象!:2015年3月24日】で述べたよう、次の数式で説明できます。
 この式を変形すると、次のようになります。

 人口容量が一定という環境下で、人口減少でゆとりが出てくると、1人当たりの生活水準が上がり始め、人口抑制装置の緩和する可能性も生まれてきます。そのプロセスは大略、次のように説明できます。

①P(総生息容可能量)は一定だが、人口が減るとV(実際の人口規模)も減るから、L(一人当たりの生息水準)は上がっていく

②Lが上がれば、親世代は素直に子ども増やす選択を採る。また子ども世代は老年世代を扶養する選択を採る。

③その結果、親世代は結婚に踏み切り、避妊や中絶などを回避して、出生数を増やす。また子ども世代は老年世代の世話や年金負担を続けるから、老年世代の生息水準も維持されて、死亡数が減る

④Pが伸びない時代には、動物界のなわばりや順位制のように、Pの分配をめぐって競争が激化するが、Lが増えれば競争は弱まり、分配分の格差も縮小するから、結婚して子どもを増やしたり、老年世代の世話を継続するようになる。

⑤こうした環境下で個々の人間が選ぶ、結婚や同棲などの促進行動、避妊や中絶などの回避行動、老年者介護や年金負担などの扶養維持行動が、次第に集団に広がって、社会的なムーブメントとして定着する。その意味で、これらの行動は人為的・文化的な抑制装置を緩和させることになる。

以上のような視点に立つと、人口容量の範囲内で人口を回復させていくには、次のような対応が求められるでしょう。


人口容量を落とさないように努める。

②人口の回復を焦らないようにする

③的外れの対応で、1人当たりの生息水準を無理に上げないようにする

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