増加圧力を活用するには、減少圧力、つまり人口抑制装置の作動を緩和させることが必要です。
装置を緩和できるのか否か、それを決めるのは、作動のきっかけとなった、国民の価値観=総期待肥大値の動きです。
先に【人口は再び増加する!:2015年7月5日】で触れましたが、総期待肥大量は現在、1億6000万人の規模にまで膨れ上がっており、人口容量に多少の余裕が生まれた程度では、抑制装置を緩和するまでには至りません。
振り返ってみると、抑制装置が作動し始めたのは、総期待肥大値が1億2800万人の人口容量を超え始めた1960年代でした。・・・【人口抑制装置を緩められるか?:2017年8月8日】
この頃から抑制装置が徐々に強まるにつれて、人口の伸び率も次第に低下し、2008年に至って実数もまた増加から減少に転じたのです。装置の作動から人口の減少まで、実に半世紀の時間がかかっている、ということになります。
とすれば、今後、人口を減少から増加に転じさせるためにも、ほぼ同様の月日が必要になる、と考えるべきでしょう。
先に述べたような単純な予測によれば、総期待肥大値が今後、1億2800万人の人口容量を切るのは2030年代と思われます。
その頃から、抑制装置が緩み始めるとすれば、実際に人口が減少から増加に転じるのは,半世紀後の2070~80年代から、ということになります。
もしも私たちがそれよりも早い回復を望む、というのであれば、総期待肥大値そのものを抑制して、一刻も早く1億2800万人の人口容量以下に抑え込む、という方向へ向かわなければなりません。
果たして、そんなことができるのでしょうか?
2017年9月26日火曜日
2017年9月17日日曜日
増加圧力とは何か?
生物的な人口増減原理については、何度も述べていますが、増加圧力の視点からもう一度確認しておきましょう。
生物学や生態学では「一定の空間において一種類の動物の数(個体数)は決して増えすぎることはなく、ある数で抑えられる」という現象が知られています。
その上限を「キャリング・キャパシティー(Carrying Capacity)」と名づけていますが、日本語には「環境収容力」とか「環境許容量」と訳されています。・・・【人口減少の本当の理由:人口容量の限界化:2015年1月27日】
動物の個体数は、このラインに近づくにつれて、自ら増加率を落とし始め、ピークを過ぎると、減少していくことがわかっています。
しかし、ある程度減少してキャパシティーにゆとりが出てくると、今度は下図のように再び増加に転じ、もう一度キャパシティーの上限まで増えていきます。そうして再度上限に達すると、またまた減少に転じ、さらにまたゆとりが出てくると増加となって、以後はキャパシティーの内側で増減を繰り返します。・・・2015年1月27日、2015年1月28日
こうした現象は、人間の場合でも基本的には同じですから、人口容量が増えない限り、その人口もまた、容量の下で増減を繰り返していくことになるのです。・・・【人口は回復しないのか?:2017年4月25日】
現在、日本の人口は12,800万人という人口容量のもとで、130万人ほどゆとりが生まれています。このゆとりは、先に述べたように、2030年には613~1,149万人、2050年には1,246~2,332万人、2080年には3,481~5,516万人まで増えていきます。
膨大なゆとりの発生・・・これこそ生物的な人口増減原理に従えば、人口増加の圧力となるものです。
もし日本人口を少しでも回復させようと思うのなら、この圧力を巧みに利用しなければなりません。
生物学や生態学では「一定の空間において一種類の動物の数(個体数)は決して増えすぎることはなく、ある数で抑えられる」という現象が知られています。
その上限を「キャリング・キャパシティー(Carrying Capacity)」と名づけていますが、日本語には「環境収容力」とか「環境許容量」と訳されています。・・・【人口減少の本当の理由:人口容量の限界化:2015年1月27日】
動物の個体数は、このラインに近づくにつれて、自ら増加率を落とし始め、ピークを過ぎると、減少していくことがわかっています。
しかし、ある程度減少してキャパシティーにゆとりが出てくると、今度は下図のように再び増加に転じ、もう一度キャパシティーの上限まで増えていきます。そうして再度上限に達すると、またまた減少に転じ、さらにまたゆとりが出てくると増加となって、以後はキャパシティーの内側で増減を繰り返します。・・・2015年1月27日、2015年1月28日
図 魚の個体数変化
こうした現象は、人間の場合でも基本的には同じですから、人口容量が増えない限り、その人口もまた、容量の下で増減を繰り返していくことになるのです。・・・【人口は回復しないのか?:2017年4月25日】
現在、日本の人口は12,800万人という人口容量のもとで、130万人ほどゆとりが生まれています。このゆとりは、先に述べたように、2030年には613~1,149万人、2050年には1,246~2,332万人、2080年には3,481~5,516万人まで増えていきます。
膨大なゆとりの発生・・・これこそ生物的な人口増減原理に従えば、人口増加の圧力となるものです。
もし日本人口を少しでも回復させようと思うのなら、この圧力を巧みに利用しなければなりません。
2017年9月9日土曜日
増加圧力はここまで強まる!
増加圧力とは、人口容量と実人口の間に生まれるゆとりです。
国立社会保障・人口問題研究所の2017年の予測をベースにすると、2015年に91万人ほどであったゆとりは、下図にしたように広がっていきます。
国立社会保障・人口問題研究所の2017年の予測をベースにすると、2015年に91万人ほどであったゆとりは、下図にしたように広がっていきます。
2030年には中位値で888万人(低位値で1,149万人~高位値で613万人)になります。
2050年には中位値で1,808万人(低位値で2,332万人~高位値で1,246万人)になります。
2080年には中位値で5,370人(低位値で5,516万人~高位値で3,481万人)になります。
2050年には中位値で1,808万人(低位値で2,332万人~高位値で1,246万人)になります。
2080年には中位値で5,370人(低位値で5,516万人~高位値で3,481万人)になります。
経済的な次元でみると、現在のGDP(実質)約500兆円を今後も維持できたとすれば、1人当たりGDPは、2015年の393万円から、次のように上がっていきます。
2030年には中位値で420万円(低位値で429万円~高位値で410万円)になります。
2030年には中位値で420万円(低位値で429万円~高位値で410万円)になります。
2050年には中位値で491万円(低位値で517万円~高位値で465万円)になります。
2080年には中位値で673万円(低位値で771万円~高位値で587万円)になります。
1人当たりの経済水準は、2015年を1とすると、ゼロ成長であっても、次のように上がっていくのです。
2030年には中位値で1.07倍(低位値で1.09倍~高位値で1.04倍)になります。
2050年には中位値で1.25倍(低位値で1.31倍~高位値で1.18倍)になります。
2080年には中位値で673万円(低位値で771万円~高位値で587万円)になります。
1人当たりの経済水準は、2015年を1とすると、ゼロ成長であっても、次のように上がっていくのです。
2030年には中位値で1.07倍(低位値で1.09倍~高位値で1.04倍)になります。
2050年には中位値で1.25倍(低位値で1.31倍~高位値で1.18倍)になります。
2080年には中位値で1.71倍(低位値で1.96倍~高位値で1.49倍)になります。
これをみると、人口減少が進めば進むほど、人口容量にはゆとりが大きくなります。
そうなると、一人当たり生活水準も上昇してきますから、人口抑制装置の作動も抑えられるようになります。
抑制装置の作動が緩めば、日本の人口もまた、生物的な人口増減原理に基づいて、再び増加し始めることになるでしょう。
これをみると、人口減少が進めば進むほど、人口容量にはゆとりが大きくなります。
そうなると、一人当たり生活水準も上昇してきますから、人口抑制装置の作動も抑えられるようになります。
抑制装置の作動が緩めば、日本の人口もまた、生物的な人口増減原理に基づいて、再び増加し始めることになるでしょう。
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