今後の日本では、私たちが到達した1億2800万人という人口容量を、減っていく人口で巧みに利用しなければならなりません。
人口が減れば、1人当たりの容量は拡大してきますから、この利点をうまく利用する方向を探すことが必要なのです。
そこで、人口と総期待値が今後、どのように変わっていくのか、2015~2110年の展望をおおまかに描いてみましょう。前提は次の3つです。
①人口予測値は、国立社会保障・人口問題研究所の2012年推計のうち、もっとも低いケース(低位値)を採ります。最も低く推移した場合でも、総期待肥大値がどこまで増えていくのかを知るためです。
②年齢別の期待肥大値は、それぞれの生まれた年の総人口が人口容量(戦前は7500万人、戦後は1億2800万人)に対する割合です。数字が大きいほど、期待が高いことを示しています。
③各年の総期待肥大値(=総期待値)は、上記の低位推計値の年齢別人口と、年齢別の期待肥大値を掛け合わせ、すべてを合計した数値です。
これをグラフ化したものが下図です。
この図から、次のような指摘ができます。
①総期待肥大値は、1960年代に1億2800万人ラインを超えた後、どんどん膨れ上がって、1990~2000年には1億5~6千万人台にまで上昇しました。
②しかし、2008年以降、人口減少に伴って、総期待肥大値も低下しはじめます。しかし、各年齢別の期待肥大値がまだまだ高いものですから、しばらくの間、人口に対応する動きは出てきません。
③2030年代に至って、総期待肥大値が1億2800万人ラインを割るところまで低下してくると、ようやく人口容量には本質的なゆとりが生まれてくることが予想できます。
このゆとりが出生率と死亡率に影響し、前者は上昇、後者は低下へと移行させることができれば、総人口を再び増加へと転じさせる可能性が生まれてきます。
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