2015年6月26日金曜日

総期待値が1億2800万人ラインを超えた時

期待肥大値の総量は、これまでどのように推移してきたのでしょうか。

各年の年齢別人口に年齢別期待肥大値を掛け合わせたうえで、全体を集計すると、全国民の総期待肥大値(以下、総期待値が年毎に推計できます。

1920年代から現在に至る、この数値の推移をグラフ化してみると、下図のようになります。



総期待値は、終戦前後にやや落ちていますが、その後は急上昇して、人口に先だって1960年前後に1億2800万人のラインを超えています。これによって、何が起こったのでしょう。

上の方の普通出生率をみると、1970年にかけて多少上がっていますが、これはいわゆるベビーブーマー2世の人たちが生まれた結果であり、それが終わると急速に下がっています。下の普通死亡率の方も1960~70年あたりまでが底のようで、80年代からは徐々に上がり始めています。

要するに、総期待値が1億2000万人を超えたあたりから、出生率は下がり、死亡率は上がるというトレンドが生まれていたものと思われます。

総期待値が上昇し、人口に先だって、人口容量の上限に近づいた結果、私たちの生活の中でさまざまな抑制装置が作動し始めたということです。

生理的な次元いえば、日本人全体の生殖能力が下がってきた。病気の増加や寿命の停滞、あるいは胎児や乳幼児の生存能力の衰退などが絡み合って、死亡数もまた増加してきました。

文化的な次元でも、直接的には妊娠を抑制する、出産を抑制する、あるいは自殺が増えてきました。間接的にも生活の圧迫、結婚の抑制、家族の縮小などで出生数が減ってきました。過食や飽食によって病気が増加し、生活習慣病も増えてきたという現象も目立ちました。


政策的な次元でいえば、今では行われなくなりましたが、かつて行われた産児制限の影響が、年齢構成の波となって、じわじわと響いてきているともいえるでしょう。老人ホームもまた、ある種の老人遺棄施設になってきているのではないでしょうか。

しかし、社会の構造は変わってきています。人口が増加する社会から、満杯の社会、そして減少する社会へ変わってきています。


次に何が起こるかといえば、満杯から減っていく方向へ動いていきます。

逆に言えば、少なくなった人間で、私たちの作り上げた1億2800万人という人口容量・・・今後は多少減ってくることもありえますが・・・この容量を巧みに利用できる社会になっていくはずです。 

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