前回述べた「新予測②」は、出生率と死亡率が2100年ころに1960年の水準に戻ると仮定した場合の総人口の予測値です。
これによると、総人口は2090年代に6640万人台で底を打ち、22世紀初頭から増加していくものと予想されています。
基本的な前提条件は、人口政策の大規模な変更や移民政策の拡大といった、外部条件の変更がないうえ、人口容量が12800万人で変わらず、人口の増加圧力が自然に機能できる場合です。
この条件の下では、おそらく最も早く人口が回復できるケースと考えられますが、それでもなお幾つかの条件が加わります。
①2100年に1960年の水準に戻るという仮定は、先の「新予測①」に比べて、目標時点を10年ほど早めています。先に述べたように、過去からの推移でいえば、総期待肥大値が1億2800万人の人口容量を超えたのは1960年ころであり、下回るのは75年後の2035年ころと予想されています。そこで、元の水準に回復する時点もまた75年後の2010年ころになると推定したのです。
②目標時点を10年ほど早めたということは、75年という間隔を70年に縮めたことを意味していますから、総期待肥大値が1億2800万人の人口容量を下回るのもまた、1960年より70年後の2030年ころと予想されます。
③2030年ころに総期待肥大値が1億2800万人の人口容量を下回るには、当初予想されていた2030年の総期待肥大値13,260万人を12,800万人にまで4~5%ほど下げることが必要になります。
以上のように考えると、総人口を21世紀中に反転させるためには、今後13~15年、2030年に向けて国民の総期待肥大値を4~5%ほど抑制する方向へ、多面的に誘導することが求められるでしょう。
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