2017年3月3日金曜日

容量オーバー時の対応経験で分かれる!

ヨーロッパ諸国では、人口容量のピークを経験しているか否かによって、合計特殊出生率の高い国と低い国の2グループが生まれているようです。

容量のピークを超えたドイツ、スペイン、イタリアは低出生率国となり、ピークをまだ超えていないスウェーデン、フランス、イギリスは高出生率国だ、ということです。

下に掲げた2つのグラフを改めて比較してみると、このことが容易にわかります。

 


人口容量のピークの前後が、なぜ出生率に影響するのでしょうか。

低出生率国に入った国々を見て、すぐに気がつくのは、ドイツ、イタリアおよび、同じような推移を辿っている日本が、いずれも第2次世界大戦の開始国であり敗戦国であることです。スペインもまた、同じ時期にフランコ政権によるファシスト体制を経験しています。

こうした経験がなぜ出生率に影響しているのか、さまざまな推測できますが、「人口波動説」から考えると、人口容量オーバーへの対応経験の差ではないか、と思います。

さまざまな動物の世界では、それぞれの個体数が
キャリング・キャパシティー(Carrying Capacity;個体数容量)を超えてしまうと、大量死や集団離脱など、かなりラディカルな対応によって容量の内側へ戻る、という事例が数多く報告されています。

人間の場合も、形は変わりますが、同じような現象が現れる可能性が十分にあります。

低出生率国である日本の推移を振り返ってみると、食糧の国内自給の上限であった7200万人に達した1930年代、海外移民から海外派兵まで、軍事力による対応を強め、その結果として敗戦と大量死という悲惨な結果を味わっています。

その後は加工貿易体制に切り替えることで、ほぼ倍近い容量を作り出すことにとりあえず成功しましたが、それでも容量への対応を誤ると、再び大量死に至るという体験は、国民の潜在的無意識の次元にまで染み透り、幾重にも蓄積されています。

このトラウマが、再び容量のピークに差し掛かった時、個人から社会までさまざまな局面に出現して、人口増加を抑え込むのではないでしょうか。

ヨーロッパの国々でも、同じような経験が出生率を抑え込んでいるのでは、と推測できます。

0 件のコメント:

コメントを投稿