2016年12月6日火曜日

自己防衛意識が抑制装置を作動させる!

晩婚化・非婚化が拡大する背景には、「遭遇機会の減少」や「結婚資金の不足」などの社会・経済的条件の変化と、「自由度の維持」や「結婚の不必要性」などの個人的願望の変貌が、双方から絡まっている、と述べてきました。

前者のうち、「遭遇機会の減少」という社会的環境は、村落社会や企業社会といった、濃厚なコミュニティーが縮小し、地方出身都会人や非正規社員など、自由度は増したものの、孤立して生活する青・成年層が増加した結果と考えられます。

また「結婚資金の不足」という経済的環境は、長引くデフレ経済のもとで、青・成年層の所得停滞が長引いているためでしょう。

一方、後者のうち、「自由度の維持」という個人的条件の変化は、比較的豊かな生育環境の下で成長してきた対象層の、生活欲望が拡大した結果といえます。上の年齢層の意識に比べて、個人的自由度への願望は限りなく肥大化しているのです。

また「結婚の不必要性」という個人的願望の変化もまた、従来の固定した家庭観へ見切りをつけ自律あるいは孤立した人生を望む人たちの増加を示しています。

このように考えると、結婚の外部的環境では、大都市という居住環境や人口容量の伸び悩みという抑制装置が暗黙のうちに作動しています。また個人的条件の変化では、肥大化した自意識が人口容量の壁にぶつかることで、人口を抑えるという抑制装置を自ら作動させています。

要するに、人口容量に余裕がなくなった社会では、一人一人の個人が己を守ることに懸命となるという鍵が働くことで、さまざまな人口抑制装置が作動し始めているのです。

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