石器後波を創ったアニミズムから農業前波を創ったミソロジーへ、時代識知の変換を担ったのは「象徴言語」から「自然言語」への移行でした。
自然言語(Natural
language)とは、人類が通常、思考や会話を行っている言語であり、筆者の別のブログ(生活学マーケティング)の【言語6階層説:自然言語とは・・・】では、次のように説明しています。
自然言語とは、人類が「身分け」し、「識分け」した対象を、「言分け」、つまりコトバやシンボル(絵や形)によって捉え直す言語記号です。 |
この言語によってミソロジー(Mythology)が生み出され、初期的、粗放的な農耕・牧畜の生産形態が作られると、粗放農業(Extensive Agriculture)という文明が成立しました。
その構造的なプロセスを、改めて整理しておきましょう。
➀人類は「身分け」「識分け」が捉えた事象を音声や図像などで表す「象徴言語」を使用しているうちに、次第に音声の「言分け」を多用する「自然言語」を形成した。 ➁自然言語には、「内言語:個人内言語」と「外言語:交信用言語」の両面があり、両者の相互的な発達が言語能力を向上させ、集団化を促していった。 ➂自然言語によって、アニミズムが捉えていた「霊魂・霊力」、つまり「動いているもの全ては、意志や感情を持つ主体である」という現象を、「人格」という観念で受け止め、「神々」という言語で表現するようになった。これにより、神々=自然環境に対し、人類がより積極的に働きかける、さまざまな行為の可能性や、その影響が的確に述べられるようになった。 ➃同時に、特定の神話=文章を一定地域の人々が共有すると、個々人の次元を超えた、人間集団が自覚され始め、共同して生活活動や生産活動へと向かうようになる。その結果、多様な人間集団という活動主体となって、人類はさまざまな自然環境へ関わり、環境そのものもまた作り直されていく可能性が生まれてきた。 ➄こうした時代知が醸成されていくにつれ、人間集団が与えられた自然環境を積極的に活用して、循環的な農耕や定着的な牧畜などを継続することができるようになった。神々の持つ自然エネルギーを、農耕・牧畜へ最適に転換させることで、より多くの人間が生きられる人口容量を創り上げた。 |
以上のようなプロセスによって、農業前波の人口容量、2億6000万人が創り上げられたものと推察されます。