「言語生成論・新仮説」の最初は、「深層言語」の生成状況から考えます。
深層言語とは、【言語6階層説:深層言語とは・・・】で述べたように、「身分け」が把握したものの、「識分け」が掴む前の無意識(深層心理)的な事象を、イメージや偶像などで表した認識装置です。
「身分け」では視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚によって「認知」し、「識分け」では形、音、臭い、味、物などと「意識」によって「識知」しています。
この「識分け」が「識知」するか否かの、初期の段階を前回述べた「広義の言語」、つまり「動作」「音声」「形象」「表号」「文字」の5つによって「言知」した言語装置が「深層言語」です。
いいかえれば、深層言語には、動作言語、音声言語、形象言語、表号言語、文字言語の全てがすでに含まれているのです。
具体的な事例で考えると、奔放な渓流に身を晒した時、人間が最初に対応する、次のような表現方法を意味しています。
➀動作言語:gesture・・・流れる水を見て、聞いて、嗅いで、感じて、身体が無意識に反応する言語状態・・・例:ついつい手を振る、ふらふら身を振る ➁音声言語:voice・・・流れる水に無意識に反応して、吐息や音声が漏れ出す言語状況・・・例:ため息・喘ぎ・息づかい、叫び声、わめき声、悲鳴 ➂形象言語:image・・・岩走る水流に接して、頭脳の中でおぼろげに動き出す映像言語・・・心像イメージ、超エネルギー・イメージ ➃表号言語:pattern・・・岩走る水流が、頭脳の中に浮かび上がらせる類似の形象や記号・・・例:類似パターン、模様化 ➄文字言語:letter・・・形象イメージや表号マークなどが単純化され、視覚化された言語・・・例:絵文字、心象文字 |
これら5つの言語の間には、次のような関係があります。
❶動作言語と音声言語は、五感に反応する前・意識的な身体的表現として共通しています。 ❷形象言語と表象言語の間には、前者のイメージが変形して、後者のパターンとなるケースが潜まれています。 ❸文字言語の形成は、動作・音声言語の進展と形象・表号言語の単純化が結びつくことによって、ようやく進展したものと推定されます。 |
以上のように、深層言語の生成過程を読み解くと、環境世界に接した人間は、動作言語と音声言語でまず「言分け」し、続いて形象言語と表号言語でイメージやパターンを捉え、それらを統合して文字言語を創り出したのはないか、と推定できます。
0 件のコメント:
コメントを投稿