2024年3月21日木曜日

グローバル・レシプロシティー:互酬団体の構築ステップ

グローバル・レシプロシティーの構築については、【構築プロセスを考える!】でおおまかな手順を提案してきました。

最も基本となるプロセスは、❷互酬団体などの構築ではないでしょうか。

地球民一人一人の“互酬:Reciprocity”関係という以上、彼らがどのような形で互酬や互恵に関わっていくのか、が問われてきます。

全地球的な互酬グループの構築を最初から実現するのは、かなり困難と思われますから、まずは国境を越えた中小グループの構築が現実的でしょう。

基本的には、WEB上で結びついた人々が、国籍や居住地など超えて、それぞれ互酬グループを構築し、その責任においてベーシックインカムの供給体制を準備していく、という手順です。

その形態についても、幾つかの可能性が考えられます。

①地球民個人による組織化

最も基本的な対応は、地球民の一人一人がそれぞれ自らの選択によって、さまざまな互助団体を構築し、参加することです。

この団体では、参加者一人一人が互いに助け合うという関係を実現するため、ベーシックインカムの基金確保をめざして、さまざまな出資可能層に対し、交渉や要請などを担当していきます。

要請対象としては、資産家や遺産移譲者、企業家や起業家、さらには企業や各種団体などに対し、グローバル・レシプロシティーへの賛同と支援を求めていくことになります。

②個人+団体による組織化

互酬グループの構成員を個人に限らず、支援企業や団体などにも広げ、予め基金提供を要請するケースも考えられます。

資産家や遺産移譲者などの中には互助組織を設立するもの、あるいはAI(人工知能)や高機能ロボットなどの先端企業などの中には、獲得した利潤を社会的な貢献に向けようとするものも、かなり期待できるからです。

③社会貢献団体による組織化

個人レベルの組織を構築する前に、社会貢献をめざす団体を中核とする互助組織を構築し、その中へ個人レベルの参加を招くというケースも考えられます。

オープンAI社のサム・アルトマン・CEOが主導する「ワールドコイン」プロジェクトのように、地球上のすべての人に仮想通貨を無料で配るプロジェクト構想もあり、最先端企業家や団体の中には、すでに資金提供に協力するものも出現しているからです。


以上のように、グローバル・レシプロシティーを実現していくには、まずはさまざまな形での互助団体の形成を図りつつ、そのうえで段階的に統合化を図ることが現実的ではないでしょうか。

2024年3月5日火曜日

グローバル・レシプロシティー・・・この英語でいいのか?

グローバル・レシプロシティー(Global Reciprocityという言葉で、地球民全員の参加する互酬制度の構築を考えています。

これに対し、「この英語はすでに別の意味で使われている」とのご指摘がありましたので、WEB上で確かめてみました。

確かにアメリカでは、global reciprocityという言葉で.「相手国の市場開放の度合いに応じて、その相手国がアメリカから利益を得ることができるとする、アメリカの通商政策」を意味しているようです(現代人のカタカナ語辞典)。

なるほど、「相互主義: principle of reciprocity」という言葉自体は「外交や通商などにおいて、相手国の自国に対する待遇と同様の待遇を相手国に対して付与しようとする考え方」、あるいは「外国人の権利に関して、その外国人の本国が自国民に同等の権利を与えることを条件とする考え方」を意味しています(Wikipedia)。

またマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボラトリーの研究報告「Detecting reciprocity at a global scale:地球規模での互恵性の検出」でも、「互恵性は、国民国家のようなより大きな人間の集合体間の安定した協力の根底にあるのでしょうか? 既存の研究では、少数の国別ペア間での互恵性に基づく協力しか検出されていません。我々は、力学系における相互影響を検出する新しい手法を、時間分解で記録する新しい大規模データセットに適用し、国際システムにおける多くの国ペア間の互恵性を検出しました。これらの相互ペアは、非相互のペアと比較して質的に異なる協力ダイナミクスを示すことを発見しました」(SCIENCE ADVANCES3 Jan 2018)と述べて、reciprocity国家間の課題だと見なしています。

これらの定義では、Global Reciprocityとは、国家間の互酬・互恵制を意味しており、地球民個々人の間の互酬・互恵制には未だ至っていないようです。

一方、ワシントン大学の学者や学生らが推進する「The Global Reciprocity Network」という組織もあります。この組織は「グローバルサウスの人々の知識を大切にし、高等教育、特に留学プログラムにおける不平等に立ち向かう教育者と活動家の国際的なネットワークです。私たちは公平なグローバルパートナーシップへの障壁を検討し、互恵性と知識交換の実践を構築します」と宣言しています。

この組織もまた、学生や学者など、主に教育面でのreciprocity実現を目標にしており、地球民一般にまでは届いていません。

以上のように、Global Reciprocityという英語は、国家間や教育面での互酬・互恵制を意味するものとして、これまでは使われてきました。

しかし、これらの延長線上で、国家から教育関係者へ、さらには一般の地球民へと、生活資源の互酬・互恵制を広げていくことは、決して無理ではないと思います。

そうした意味こそ、Global Reciprocityという英語の担うべき、本来の目標ではないでしょうか。