2023年5月6日土曜日

少子化対策で人口は減るかも?

政府が検討している少子化対策の叩き台「子ども・子育て政策の強化について(試案)」によって、少子化=少産化が本当に克服できるのでしょうか。

前回述べたように、今回の対策のほとんどは、下図に示したとおり、少子化直接背景のうちの「夫婦間少産化」に向けられています。



しかし、前回も指摘したように、莫大な予算がかかる割には、効果にはかなり疑問があります。

そればかりか、巨視的な背景から見ると、このような対策は、人口容量を減らし、個人容量を増やすことで、長期的には人口を減少させる可能性もあります。

例えば、一方では福祉国家への負担を増加させ、他方では社会保障依存度を高める方向ともいえるからです。

とすれば、少子化対策はもっと巨視的な次元から行わなければなりません。

人口減少、つまり少産・多死化の真因は、人口容量の満配化による人口抑制装置の発動にあるからです。

この事実については、すでに8年前から、【人口減少は極めて〈正常〉な現象!:015324日)から【人口抑制装置が的確に作動した:2016929日】などで、詳しく述べていますので、要点を再掲しておきます。 

工業現波の人口容量12800万人が上限に近づくにつれて、さまざまな人口抑制装置が作動している。

人口減少は極めて〈正常〉な現象!2015324・・・人口容量の制約が近づき、日本はさまざまな人為的抑制装置を作動させて人口を抑え始めている。
生物的抑制が始まっている!2015331・・・若い世代のセックス離れ、不妊の増加、流死産の増加など、日本人の生物的な生殖能力も低下し始めている。
生存能力も低下し始めた!201544・・・人口統計によると、死亡数・死亡率が上昇し、平均寿命の伸びも縮小し始めている。
直接的抑制装置も作動している2015410・・・人工妊娠中絶件数や自殺数などの人為的抑制装置は、200508年に人口がピークを過ぎて容量に幾分ゆとりが見えると、やや弱まったものの、今後の楽観は許されない。
間接的抑制ではまず増加抑制装置が動いた!2015417・・・結婚の抑制、子どもの価値の低下、家族の縮小など増加抑制装置も進んでいる。
もう一つの間接的抑制:減少促進装置も作動!2015424・・・自然環境の悪化により、悪性新生物、心疾患、肺炎など健康水準の低下に加え、パンデミックの大流行など、減少促進装置も作動している。
出産奨励策は期待できるのか?201559・・・直接的、間接的抑制が既に作動しているから、政策的な次元で強力な出産奨励策を実施したとしても、さほどの効果は期待できない。
減少促進策はすでに実施されている! 2015514・・・後期高齢者医療制度の負担増、介護保険料の負担増、介護保険・特別養護老人ホーム等費用の負担増など、長寿者の生活を圧迫することで、結果的には死亡者を増やし、人口減少を進めている。
現代日本でも人口抑制装置がすでに作動している! 2015519・・・現代の日本では、生物的抑制に加え、人為的=文化的抑制もすでに始まっている。
 

以上のように、人口容量が飽和した現代日本では、すでに人口抑制装置が動き出しているのです。

とすれば、人口維持対策や出産増加対策を打ち出す前に、こうした事実をまず冷静に理解するところから始めなければならないでしょう。

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