人口波動と時代識知の連携がひとまず決着しましたので、今回からは新たに、減少を続ける日本人口の反転可能性について考察していきます。
日本人口の減少トレンドについては、政治、経済、社会など、あらゆる分野から危惧や不安が指摘され、マスメディアにも連日のように取り上げられています。
少子化対応の遅滞、高齢者激増の負荷などはもとより、消費市場の縮小、労働力の減少、経済規模の縮小、さらには税収の減少、社会保障制度の脆弱化、社会基盤維持力の低下まで、マイナス事項が次々に指摘され続けています。
このため、人口の維持・回復が喫緊の政策課題だと指摘され、「増子化対策や移民導入策などを促進せよ」との主張が盛んですが、実際の推進策となると、実現性や具体性に欠け、曖昧のまま放置されているのが現状というべきかもしれません。
それゆえなのか、現在の時点で「人口がやがて増加に転じる」などと言えば、暴論、邪論という批判が噴出するのは当然のことです。
まして「人口波動という超長期的な視点から見ると、人口の動態には増加期と減少期があり、減少の後は増加する可能性がある」などという、筆者の主張に対しては、さまざまな方々から厳しいご批判が続いています。
拙著や当ブログはもとより、新聞掲載文やインタビュー記事などについても、既存学会の関係者や高学歴を自尊する方々から、曲学や暴論などと断じられることもしばしばです。
これらに接すると、「何を言っているのだろう。・・・マスメディアの通説や既存学問のパラダイムにどっぷり侵されて、異説異論は退けたいのだろう。短期的な見方にこだわるあまり、長期的な見方を理解できないのではないか・・・」などと、胸内では強く反論もしておりました(もっとも、肯定的に評価して下さるご意見もあり、消沈していたばかりではありません。)
とは思いながらも、もう一方では、「人口波動説の説明が未だ不十分なのだ。論理の説得力がまだまだ低いのではないか」などと反省もしておりました。
そこで、今回からしばらくは、日本人口の反転可能性について、最近の考察を述べていきたいと思います。
予想される、主な論点は、次のとおりです。
●世界人口が減少過程へ・・・主要国は全て人口減少へ・・・人減適応国こそ先進国 ●人口減少社会の進展過程・・・減少開始➔減少適応➔反転開始 ●減少適応社会の方向・・・人口容量維持、再配分制度の見直し、濃縮型生活様式への転換など ●増減条件の革新・・・人生設計観の変化、生涯生活費用の確保、個人・家族観の変化など ●反転構造・・・時代識知(時代精神)の革新、新文明への転換、社会・経済制度の転換など |
次回からは、以上のような論点を確かめつつ、人口反転の可能性をクールに探っていきます。