ワシントン大の予測によれば、SDGsが進め進むほど、世界人口は減少していきます。
人口容量はSustainable(持続可能)となりますが、人口はUnsustainable(持続不可能)になる、ということです。
先に述べたように、私たち人類の生存可能量を支えている人口容量(Population Capacity)は、次の式で表わせます。
人口容量=自然環境×文明 |
より具体的にいえば、【人口容量の中身を考える!】で述べているように、
国土などの扶養量(食糧・衣料・住居など生活資源や、移動・通信・熱源などエネルギーの供給量)と許容量(生活廃棄物・産業廃棄物・排出ガスなどの処理量)の両面から決まってきます。
それゆえ、上記の式を現代社会に当てはめると、次のように変換できます。
世界の人口容量=(地球扶養量+地球許容量)×現代文明 |
この式が意味しているのは、現代世界の人口容量が、現代の文明によって、❶食糧・衣料など生活資源や移動・通信・熱源などをどこまで保証できるのか、❷生活廃棄物・産業廃棄物・排出ガスなどをどこまで処理できるのか、の両面から決まってくる、ということです。
翻って、現代の地球環境を眺めると、❶では食糧危機やエネルギー不足などが懸念され、❷では温暖化や環境汚染などが顕在化しています。
それゆえ、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標群)が目ざしているのは、これらの不安を縮小し、安定的な地球環境を回復させていこう、ということだと思います。
下図で説明すれば、地球という自然環境を現代文明の改善によって維持し、90億人規模の人口容量をなんとか維持していこう、という趣旨です。
その意味では、人口容量のSustainable(持続可能)をまさに実現しようとしています。
しかし、ワシントン大の予測によれば、SDGsを進めれば進めるほど、世界人口は減少していきます。
2050年ころに88億人となって、人口容量90億人にほぼ達した後、徐々に下がり始め、2100年には63億人となり、人口容量の7割へ落ちていきます。
つまり、人口そのものはUnsustainable(持続不可能)となり、減少していくということです。
その結果、1人当たりの人口容量(90億人/総人口数)は、現在の1.15から2040年に1.03にまで落ちますが、その後は逆転して上昇し始め、2090年には2010年の水準を回復し、2020年には1.43まで上がっていきます。
先進国のライフスタイルが途上国にまで浸透し、世界全体の生活民が高度な生活水準を営めるようになるということです。
このため、世界人口の平均的生活水準は、低下→横ばい→上昇とUnsustainable(持続不可能)な、大きな波を打つのです。
以上のように見てくると、Sustainable(持続可能)という言葉が当てはめられるのは人口容量だけであり、人口推移と生活水準については、Unsustainable(持続不可能)の方が妥当だということになります。
要約すれば、SustainableはUnsustainableをもたらすのです。
あるいは、SustainableはUnsustainableで初めて成立するのです。
この逆説は何ゆえに生まれてくるのでしょうか?
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