人口減少社会では、GDP がゼロ成長であっても、国民一人当たりの所得は伸びていきます。
そのためには、GDP を維持することが必要であり、方策の第一は労働力人口の定義を見直すことです。
現在、15~64歳とされている生産年齢人口の定義を、現実に即した方向へと移行していくのです。
この件については【「75歳高齢者制」がようやく認知されてきた!】(2017年1月7日)ですでに述べたように、筆者は20年ほど前から、高齢者の定義を平均寿命の上昇に見合ったものに変えて、生産従事者を増やしていくことを提案してきました。
具体的には、新年齢基準に前提にして「年金制度の改革」「自己責任による積み立て方式」「65歳以上の就労枠拡大へ」「自ら新しい職場を創る」「生涯現役の多毛作人生へ」などを提案しています。
現時点で、この提案を見直してみると、平均寿命の急激な上昇に伴って、高齢者の定義だけでなく、若年者の定義もまた見直しが必要となっています。
従来の定義では、寿命が70歳前後であった1960年ころの人生観に基づいて、0~6歳を「幼年」、7~14歳を「少年」、15~29歳を「青年」、30~64歳を「中年」、65歳以上を「老年」とよんできました。
ところが、2015年の平均寿命は、女性86.99歳、男性80.75歳となりました。平均寿命は0歳児の平均余命ですから、65歳に達した人であれば、女性は89歳、男性は84歳まで生き延びます。人生はすでに「85〜90歳」の時代に入っているのです。
こうなると、過去の年齢区分はもはや通用しません。寿命が1.2~1.3倍に延びた以上、年齢区分もまたシフトさせ、0~9歳を「幼年」、10~24歳を「少年」、25~44歳を「青年」、45~74歳を「中年」、75歳以上を「老年」とよぶほうが適切になるでしょう。
エッと思われるかもしれませんが、世の中を見渡せば、この区分はすでに通用しています。
過去10数年、新成人(満20歳)となった若者に聞くと、約7割が「自分は大人ではない」と答えています。
40歳で青年会議所を卒業した男女も、44歳くらいまでは会合に出席しています。
近ごろの70歳は、体力、気力、知力とも旺盛で、老人とか高年者とよばれると、顔をしかめます。
このように、現実はすでに新しい区分へ近づいているのです。
とすれば、生産年齢人口もまた、新たな青年と中年、つまり25~74歳と考えるべきではないでしょうか。
定義を変えると、生産年齢人口の実数や構成比率は、どのように変わっていくのでしょうか。
2017年5月25日木曜日
2017年5月18日木曜日
人口減少でGDP /人は2倍へ!
人口減少によって、人口容量には間違いなくゆとりが生まれてきます。
加工貿易文明が作り出してきた、現代日本の人口容量=1億2800万人を維持できれば、人口が減る分だけ、私たちの暮らしにはゆとりが出てきます。
経済的に見ると、現在のGDP水準を維持できれば、1人当たりGDPは伸びていきます。ゼロ成長であっても、私たちの所得は伸びていく、ということです。
実際、現在のGDP =500兆円が落ちなければ、下図のように、国民一人当たりの所得は2015年の393万円から2050年には491万円(1.23倍)、2100年には837万円(2.13倍)へと増えてきます(いずれも実質)。
人口が減る社会では、経済規模が伸びなくても、個々人は豊かになっていくのです。
いうまでもなく、これを実現していくためには、GDPの維持、分配の公平化、移民影響の最小化など、幾つかの条件があります。
最初の条件は「GDPの維持」です。
人口減少によって、すでに問題化しているように労働力も減少していきますから、生産力もまた落ちていきます。
これを覆すには、次のような方策が考えられます。
①労働力の見直し・・・現在の労働力の前提になっている生産年齢や生産対象層を見直す。
②新技術による生産性の向上・・・AIやロボットの応用範囲を拡大し、生産性の向上を図る。
③外国人の受け入れによる増加・・・移民の悪影響を最小化する範囲内で、外国人の受け入れを図る。
以上の3つをうまく組み合わせできれば、GDPの維持はさほど難しいことではありません。
加工貿易文明が作り出してきた、現代日本の人口容量=1億2800万人を維持できれば、人口が減る分だけ、私たちの暮らしにはゆとりが出てきます。
経済的に見ると、現在のGDP水準を維持できれば、1人当たりGDPは伸びていきます。ゼロ成長であっても、私たちの所得は伸びていく、ということです。
実際、現在のGDP =500兆円が落ちなければ、下図のように、国民一人当たりの所得は2015年の393万円から2050年には491万円(1.23倍)、2100年には837万円(2.13倍)へと増えてきます(いずれも実質)。
人口が減る社会では、経済規模が伸びなくても、個々人は豊かになっていくのです。
いうまでもなく、これを実現していくためには、GDPの維持、分配の公平化、移民影響の最小化など、幾つかの条件があります。
最初の条件は「GDPの維持」です。
人口減少によって、すでに問題化しているように労働力も減少していきますから、生産力もまた落ちていきます。
これを覆すには、次のような方策が考えられます。
①労働力の見直し・・・現在の労働力の前提になっている生産年齢や生産対象層を見直す。
②新技術による生産性の向上・・・AIやロボットの応用範囲を拡大し、生産性の向上を図る。
③外国人の受け入れによる増加・・・移民の悪影響を最小化する範囲内で、外国人の受け入れを図る。
以上の3つをうまく組み合わせできれば、GDPの維持はさほど難しいことではありません。
2017年5月4日木曜日
人口減少でゆとりが生まれる!
12,800万人という人口容量の下で、少しでも人口を回復させるには、どうすればいいのでしょうか。
人口を回復させるためには、人口減少の真因である「人口抑制装置」の作動を弱めることが必要です。
すでに述べたように、1960年代以降、現代日本の人口集団は人口容量が満杯に近づくにつれて、人口抑制装置が徐々に作動させてきました。
その結果、一方では出生数が抑制され、他方では死亡数が増加するという、いわゆる「少産・多死化」が進み、人口は停滞から減少へと移行しました。
この抑制装置は一度作動すると、人口構造の中に組み込まれてしばらくは持続し、容量が満杯となった後もなお続いていきます。
このため、現代日本の人口は、国立社会保障・人口問題研究所の推計のように、21世紀中は回復しない、と予測されることになります。
しかし、今後は人口の減少に伴って、人口容量に少しずつゆとりが生まれてきます。
もしこれを活用できれば、もう少し早く人口を回復させることも可能になるのかもしれません。
ゆとりを利用して、人口抑制装置の作動を少しでも弱めることができれば、その分、人口には回復する可能性が高まってくるということです。
どの程度ゆとりが生まれてくるのか、おおまかに計算してみましょう。
①人口容量は1億2000万人です。
②人口予測値は国立社会保障・人口問題研究所・2017年推計・中位値とします。
③人口容量(1億2000万人)を各年の人口で割ったものが余裕値となります。
とすると、余裕値は、下図に示したように、現在(1.0)に比べて、2067年には1.5倍、2094年には2.0倍になります。
人口を回復させるためには、人口減少の真因である「人口抑制装置」の作動を弱めることが必要です。
すでに述べたように、1960年代以降、現代日本の人口集団は人口容量が満杯に近づくにつれて、人口抑制装置が徐々に作動させてきました。
その結果、一方では出生数が抑制され、他方では死亡数が増加するという、いわゆる「少産・多死化」が進み、人口は停滞から減少へと移行しました。
この抑制装置は一度作動すると、人口構造の中に組み込まれてしばらくは持続し、容量が満杯となった後もなお続いていきます。
このため、現代日本の人口は、国立社会保障・人口問題研究所の推計のように、21世紀中は回復しない、と予測されることになります。
しかし、今後は人口の減少に伴って、人口容量に少しずつゆとりが生まれてきます。
もしこれを活用できれば、もう少し早く人口を回復させることも可能になるのかもしれません。
ゆとりを利用して、人口抑制装置の作動を少しでも弱めることができれば、その分、人口には回復する可能性が高まってくるということです。
どの程度ゆとりが生まれてくるのか、おおまかに計算してみましょう。
①人口容量は1億2000万人です。
②人口予測値は国立社会保障・人口問題研究所・2017年推計・中位値とします。
③人口容量(1億2000万人)を各年の人口で割ったものが余裕値となります。
とすると、余裕値は、下図に示したように、現在(1.0)に比べて、2067年には1.5倍、2094年には2.0倍になります。
これに伴って、人口抑制装置も作動を緩め、人口にも回復の可能性が生まれてくるはずです。
21世紀の前半にはまず無理でしょうが、後半になればある程度の回復が予想できます。
それには何が必要なのか、幾つかの条件を考えていきましょう。
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