2015年12月30日水曜日

石器技術の発展過程を振り返る

日本列島の旧石器技術には、岩石を砕いて石器を作りだす「打製技術」を基礎にして、ほぼ5000年の間隔で3~4つの発展段階があったと推定されています。
 
前4~前3万年には「磨製石刃」が定着し、前2万5000年ころには「ナイフ形石器」が、前1万5000年ころには「槍先形尖頭器」が、前1万3000年ころには「細石刃」が、それぞれ登場しています。 
旧石器技術の発展過程を振り返ってみると、次のような特徴が見えてきます。 
  1. 磨製石刃は、岩石を削りだした石それだけで、モノを切ったり削ったりしており、「1つの道具でその用途を作りだす」石器、いわば単体の道具でした。
  2. ナイフ型石器から槍先形尖頭器に至ると、単体の石器を木の棒に取り付けて、突いたり叩いたりしており、「2つの道具を組み合わせて、その用途を作りだす」石器、つまり接合化された道具になりました。
  3. 細石刃になると、岩石から細かく削り出した石刃を、別に製作した木片に何枚かはめ込んで、さまざまな用途に応じた、幾つかの道具を作り出しました。「幾つかの切片を繋げてさまざまな用途の道具を作りだす」石器、いわば複合化された道具に進展しています。
 
人類に特有の環境対応能力は、言葉(コト)作り道具(モノ)作り一体化したものとして発達してきました。
 
この視点から石器技術の発展過程を振り返ると、「1つの単語で1つのモノを表す」段階から、「2つの単語で1つのモノを表す」段階を経て、「幾つかの単語を繋げた文章でさまざまなモノを表す」段階への変化ということができます。
 
つまり、【単語:単体】から【主語+述語】へ、さらに【複数の単語+述語+形容詞・副詞】へと進展してきたといえるでしょう。
 
このように考えると、石器技術の発展推移は、粗放技術が次第に洗練され、集約技術へと移行していく過程とみなすことができます。

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