2025年12月20日土曜日

言語生成・新仮説Ⅶ・・・形象・文字の進展で表象言語が・・・

象徴言語に続き、表象言語の成立過程を考えています。

表象言語とは、【言語生成・新仮説Ⅲ・・・表象言語】で述べたように、人類が「身分け」し、「識分け」した対象を、コトバやシンボル(絵や形)によって「言分け」する行為です。いいかえれば、意識が把握し、モノコト界でゆらゆら浮遊している象徴言語を、より明確なコトバやシンボルに置き換え、コト界を創り上げるコトバ、といってもいいでしょう。

このような表象言語は、何時ごろ形成されたのでしょうか。

音声表現として何時頃現れたのか、明確な史的証拠は不明です。音声表現の進展過程については、物理的な証拠は消えていますし、推定する方法もないからです。

それゆえ、形象表現や文字表現の側面から見るしかありませんが、これらでは次のような進化が確かめられています。

➀岩絵・ペトログリフ(petroglyph・・・岩石や洞窟の壁面に形や文字らしきものを刻んだ彫刻ですが、紀元前1万年と推定されるウクライナの「カメンナヤ・モグリャ」遺跡に始まり、紀元前90007000年頃には絵文字や表意文字のようなものへ進んでいます。

➁音声表現から文字表現へ・・・紀元前90007000年頃に始まった絵文字や表意文字が進歩するにつれて、紀元前4000年ころまでの約4000年間に音声表現を文字表現へ置き換える動きが高まり、やがて古代文字を生み出しています。

➂古代文字の誕生・・・紀元前3500年頃には、さまざまなピクトグラム(pictogram:絵文字)が登場しています。

楔形文字(Cuneiform・・・紀元前3500年頃、メソポタミアのシュメール人によって絵文字の性格が強いウルク古拙文字が発明され、紀元前2500年頃にはシュメール文字になったと推定されています。

ヒエログリフ(Hieroglyph・・・古代エジプトの象形文字の一つで、最古のナルメル遺跡のパレットは紀元前3200年頃と推定されています。

➃古代神話の発生・・・紀元前3000年頃になると、文字の進化によって神話が記録されるようになります。

●古代メソポタミアの神話「ギルガメシュ叙事詩」・・・紀元前3000年代に生まれた可能性が極めて高い、と推定されています。

●古代エジプトの「オシリス神話」・・・紀元前2500年頃の成立と推定されています。

古代インダス文明の宗教文書「ヴェーダ」は、紀元前1000~前500年頃に編纂されたと推定されています。

以上のように、形象表現や文字表現が進むにつれて、人類の表現行動も象徴言語から表象言語へと進化していきます。

表象言語の浸透によって、共同体の内部での交信機能が高まるとともに、世界認識の方法としても「ミソロジー(神話)」という「時代識知」が広がっていきます。

ミソロジーによって初期農耕という文明が生み出され、3つめの人口波動「農業前波」が始動しました。

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