2024年4月23日火曜日

変化は生産構造から経済構造へ!

グローバル・レシプロシティーの構築プロセスを考える前提として、「次の時代、工業後波の生産構造や経済構造はどうなるか?」を検討しています。

前回述べた人口波動の前期と後期の関係から推理すると、世界人口が再び増え始めると予想される、22世紀の「工業後波」では、【ル・ルネサンスは工業後波をめざすのか?】に示した如く、次のような特性が予想できます。

識知では、科学(Science)から統合的科学(Omniscienceへ進展します。

技術では、粗放的機械生産から集約的機械生産へ進展します。

生業で、工業・分業化から工業・統合化へ移行します。

共同体では、企業・都市・国家から3団体+新共同体へ移行します。

時代識知では、現代の分節・分析型科学から、合節・統合型科学への転換が進んでいきます。

それに伴って、生産技術においても、ハード中心であった物的生産技術から、人工知能や制御技術の主導する知的生産技術への転換が進みます。

となると、生産構造においても、食糧・資源はもとより生活資材や社会機能、さらには教育・医療・情報などのサービスに至るまで、人間主導労働から知産主導労働への転換が進んでいきます。

人間の労働力が中心であった生産構造から、知的生産物の労働比重が高まる構造へと、大幅な移行が進むというわけです。

こうした展望を前提にすると、生産を担う共同体としても、これまでの企業はもとより、税による再配分を担う国家や都市に加えて、新たな生産共同体への期待が高まってきます。

おそらくそうした共同体の一つが、グローバル・レシプロシティー(地球的互助組織)として成長していくものと思われます。


もしもこのような展望が可能であれば、これらの生産構造を支えていく経済構造においても、現代社会の基礎を支える資本主義には、かなりの変化が求められるのではないでしょうか。

2024年4月12日金曜日

新たな生産構造を考える!

グローバル・レシプロシティーの構築プロセスを考えようとしていましたが、その前に「次の時代、工業後波の生産構造はどうなるのか?」とのご質問をいただきました。

ご指摘の通り、互助団体が動き出す前に、100年後、地球民の生活資源をどのように創り出していくのかが、まずは問われるべきでしょう。

そこで、ル・ルネサンスが目指すべき、新たな生産構造を考えてみます。

現代社会、つまり工業現波の生産構造の基本は、科学技術文明を応用した工業的生産形態です。農業・水産物から工業・製造物はもとより、サービス・情報に至るまで、ほとんどが工業技術をベースに生産されています。

となると、次の波動、工業後波の生産構造は、どのように変化していくのでしょうか。

筆者の提唱する「人口波動説」では、前波と後波の間には一定の継承・発展関係が存在する、と考えています。

世界の人口波動でみると、石器文明による石器前波と石器後波、農業文明による農業前波と農業後波において、生産構造には粗放と集約の関係が見られます。

人口波動の流れで読む!】に示したように、4つの波動は次のような生産構造を持っています。

●石器前波・・・旧石器と地縁・血縁による狩猟・採集生産

●石器後波・・・新石器+土器と地縁・集落による狩猟・採集・耕作生産

●農業前波・・・粗放農業と村落・町衆による粗放的農耕・牧畜生産

●農業後波・・・集約農業と都市・国家による集約的農耕・牧畜生産

このような関係を前提に、現在の工業現波を「工業」、次の波動「工業」と考えると、両者の間には次のような関係が予想できます。


工業前波・・・粗放的機械生産と企業・都市・国家による工業・農業等分業生産

工業後波・・・集約的機械生産と企業・都市・国家・新共同体による工業・農業等分業生産

より具体的にいえば、現在の生産構造を主導しているのは、企業という社会集団であり、それを支えているのは「資本主義」という経済原理です。 

これが工業後波になると、企業という集団と資本主義という主導原理はどのように変わっていくのでしょうか。

しばらくは、このテーマを考えていきます。