世界人口の急減が注目される中で、人口大国を誇る国々にも減少が迫っています。
国際連合2019年予測の低位値に基づき、1億人以上の主要国について、それぞれの人口動向を眺めて見ましょう。
グラフで眺めてみると、各国のピークは次のようなものです。
主要国の人口ピーク
国名
ピーク年
人口:百万人
インド
2042
1503
中国
2024
1447
アメリカ
2047
349
パキスタン
2065
320
インドネシア
2045
302
エチオピア
2079
216
エジプト
2078
161
ブラジル
2031
219
バングラディシュ
2039
177
ロシア
2020
146
日本
2009
129
データ出所:U.N.人口予測2019.低位値
これを見ると、次のような傾向が読み取れます。
①10億人以上を誇る国々では、中国が2024年、インドが2042年と、ともに2050年より前にピークを迎えます。 ②5億人以下の国々でも、ロシアが2020年、ブラジルが2031年、バングラディシュが2039年、インドネシアが2045年、アメリカが2047年と、各大陸の主要国が2050年より前にピークとなります。 ③2050年以降にピークを迎える国は、パキスタンが2065年、エジプトが2078年、エチオピアが2079年と、アジア、アフリカの国々です。 |
以上のように、現代の世界をリードする国々もまた、今後30年ほどの間に人口減少国となっていきます。
とすれば、人口減少をなんとかせき止め、人口維持国や人口増加国を目指すというのは、ほとんど的外れの方向ではないでしょうか。
それよりもこれから30年、2050年を過ぎるころには、世界の主要国はいずれも人口減少への対応を迫られることになります。
これまでの近代国家は、人口の増加を前提に、消費の拡大と生産の拡大、税収の増加と社会福祉の拡大、居住地の拡大とインフラの拡充などを目標として、それぞれの社会・経済政策を進めてきましたが、もはやその時代は終わったのです。
今後は人口の減少を前提に、消費の縮小と生産の適合、税収の見直しと社会福祉の変革、居住地の再配とインフラの適合化などを、新たな国家目標として、社会・経済政策を進めていくべき時代になったのです。
歴史を振り返れば、人口の推移には、増える時代と減る時代が何度かありました。その都度、各国の人々はそれぞれに対応する社会を造り上げ、新たな時代への橋渡しをしてきました。人口変化にいち早く対応する国こそ、次代を切り拓く先進国なのです。
とすれば、19~21世紀前半の世界をリードしてきた人口増加・成長・拡大型国家、アメリカや中国はもとより、人口維持をめざす福祉国家、イギリスやスウェーデンなども、このままの対応状況では、もはや先進国とはいえなくなるでしょう。
21世紀後半の世界をリードするのは、人口減少に積極的に対応する国家、つまり「人減対応先進国」という、新たな先進国なのです。
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