2016年11月28日月曜日

非婚者が急増しているのは・・・

②の「晩婚・非婚者の増加」は、人為的(文化的)抑制の典型といえるでしょう。

具体的なデータについては、【
間接的抑制ではまず増加抑制装置が動いた!】(2015年4月17日)ですでに紹介しています。


最新の動向を「第15回出生動向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所・2015年)で確認しておきましょう。

生涯未婚率(50歳時の未婚率)は、1990年以降一貫して上昇しており、2015年には男性で22.77%、女性で13.32%に達しています。

②18~34歳で「一生結婚するつもりはない」の比率も、1997年以降一貫して上昇しており、2015年には男性で12.0%女性で8.0%に達しています。
③「結婚することに利点がない」と感じている未婚男性は、おおむね4割台で漸増していますが、未婚女性は2000年以降、2割台で漸減しています。


④「結婚できない理由」では、男性が「めぐり合わない」と「結婚資金が足りない」を、女性が「めぐり合わない」をあげています。また「結婚しない理由」では、男性も女性も「自由や気楽さを失いたくない」「まだ必要性を感じない」をあげています。



以上のデータから、晩婚化・非婚化が拡大する背景を考えてみると、一方では「遭遇機会減少という社会的環境」や「結婚資金不足という経済的環境」などの社会的条件の変化があり、他方では「自由度の維持」や「不必要性」などの個人的願望の変貌が、それぞれ潜んでいるようです。

どちらもまた、人口容量の飽和期に現れる人為的抑制装置の、現代的な出現と理解すべきでしょう。

2016年11月18日金曜日

出産適齢女性人口はなぜ減るのか?

「少産化」の背景として、一般的にあげられている要因は、次の3つです

①出産適齢(15~49歳)の女性人口が減ってきた。
②晩婚や非婚を選ぶ人たちが増えてきた。
③結婚しても子どもを作らない夫婦が増えてきた。

人口抑制装置という視点でいえば、①は生理的(
生物的)抑制であり、②③は人為的(文化的)抑制です。


①の「出産適齢にあたる女性人口が減ってきた」ことは、先に述べたように、現代日本の人口集団が数十年の間に徐々に構造変化を続けてきた結果といえるでしょう。

この事象を「生理的(生物的)抑制」とみなすのは、一つの人口容量の中で一定の人口集団が増加・停滞・減少という過程を辿る場合、その内部では年齢構成が徐々に上昇していかざるをえない、という理由があるからです。

人口集団が
修正ロジスティック曲線を辿って増えていく場合、人口容量の上限に近づくと、出生数の減少で若年層の減少が、また死亡数の増加で老年層の減少がそれぞれ始まります。
 
内部の年齢構成では、曲線の進行につれて、
若年>老年 ⇒ 若年=老年 ⇒ 若年<老年
となるのが一般的ですから、逆ピラミッド化が次第に加速ていきます。

このため、人口が停滞・減少過程に入ると、さらに逆ピラミッド化が進み、それに比例して出生数もさらに減ことになります。

実際、下図に示したように、現代日本でも1990年以降、出産適齢女性人口の減少にほぼ比例して出生数もまた減少しており、この傾向は今後ますます強まっていくことが予想できます。
こうした意味において、出産適齢女性人口の減少=出生数の減少は、自然環境と生物の個体数の間の、いわば必然的な宿命を示している、ともいえるでしょう。

2016年11月11日金曜日

〈増加抑制装置〉も作動している!

人口減少の2つめの要因は、いうまでもなく〈増加抑制装置〉の作動です。

人口が人口容量の上限に近づくにつれて、日本列島に住む人々の集合的無意識の中に予め備えられていた増加抑制装置、つまり増加を抑えようとする力が作動したのです。

増加抑制装置にも、生理的=生物的抑制装置人為的=文化的抑制装置の両面があります。




 
生理的抑制装置では、出産適齢女性人口の減少や生殖能力低下などが考えられます。

前者については、現代日本の人口集団が数十年の間に徐々に構造変化を続けてきた結果といえるでしょう。

後者については、精子減少、排卵減少、性交不能、不妊症、生理不順、流産・死産の増加などが始まっている可能性があります。

このうち、不妊症と流死産の増加については、◆
生物的抑制が始まっている!(2015年3月31日)でデータをあげています。
人為的抑制装置では、直接的、間接的、政策的の3次元で抑制が始まっています。

1番目の直接的抑制では、妊娠抑制(避妊、性交禁止)、出産抑制(堕胎、嬰児殺し)などは始まっています。

このうち、堕胎=人工妊娠中絶件数の動きについては、◆
直接的抑制装置も作動している!(2015年4月10日)の中で述べています。

2番目の間接的抑制では、経済的な生活圧迫をはじめ、結婚抑制、家族・子どもの価値の低下、家族縮小、都市化、社会的頽廃化などが進んでいます。

このうち、結婚抑制、家族・子どもの価値の低下、家族縮小については、◆
間接的抑制ではまず増加抑制装置が動いた!(2015年4月17日)でもデータを紹介しています。

3番目の政策的抑制では、筋違いの出産奨励政策がむしろ少子化を加速しています。

この点については、今後のブログで詳しく検討していきます。

以上のように、現代日本では、人口増加を抑える装置もまた、速やかに作動しているのです。