より詳しくみると、石器文明は旧石器文明と新石器文明、農業文明は粗放農業文明と集約農業文明、工業文明は粗放工業文明によって、それぞれ5つの波を作ってきました。
石器文明、農業文明、工業文明という区分を「大文明」、旧石器文明、新石器文明、粗放農業文明、集約農業文明、粗放工業文明という区分を「細文明」と名づけますと、文明と人口波動の関係は、次のように整理できます。
世界波動でいえば、5つの細文明が世界各地に成立し拡大したことにより、世界の人口波動が生まれてきました。
日本波動においても、5つの細文明によって、5つの人口波動が生まれていますが、このうち、旧石器文明と粗放農業文明という細文明は日本列島の外側から入ってきた移入的な文明であり、新石器文明と集約農業文明という細文明は列島の内部で育まれた内発的な文明です。
石器文明でいえば、アジア大陸や太平洋地域から渡来した旧石器文明が、日本列島の中で進展し、石器プラス土器を作る文明、いわゆる縄文文明を生み出すことによって、新石器文明に変わっていきます。
揚子江流域から入ってきた粗放農業文明が、日本独自の集約型農業の進展によって、集約農業文明に進展していきます。
つまり、日本列島では、大文明の前段階は外部から入ってきた文明であり、後段階は内部で育まれた文明ということができます。
以上の視点に立つと、私たちの現況を見る目が変わってきます。私たちは今、史上最高度の文明社会に生きていると考えがちですが、実のところは、まだ工業文明の前段階を経験しているだけではないのか、という見方です。
下図で見るように、日本列島の人口波動は、石器前波と石器後波のペア、農業前波と農業後波のペアの後で、最後の工業文明に到達しています。とすれば、工業文明にはもう一つ高度な段階、つまり「集約工業文明」が期待できます。私たちの生きている工業文明社会は、まだ粗放工業文明の段階に留まっており、次の段階では集約工業文明へ向かっていく、ということです。
旧石器時代から縄文時代へ、平安時代から江戸時代へと時代が移行したように、昭和・平成時代の次には、もう一つ新たな時代が来る。そうなると、1億2800万人まで持ちこたえた人口容量を、22世紀以降には倍以上に引き上げていくこともできる、という大きな展望が生まれてきます。
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