これまで見てきたように、現代の日本でも人口抑制装置がすでに作動しています。
もっとも基礎的な生物的抑制では、生殖能力低下、若い世代のセックス離れ、流死産の増加などで「増加抑制」が進む一方、死亡数・死亡率の上昇、平均寿命の伸び率の縮小などで「減少促進」が始まっています。
人為的(文化的)抑制でも、人工妊娠中絶件数の増減や自殺数の増減など(直接的抑制)、結婚の抑制、子どもの価値の低下、家族の縮小など(間接的抑制)、緩慢な出産奨励策など(政策的抑制)によって「増加抑制」が進んでいます。
また自殺数の増減など(直接的抑制)、自然環境の悪化や健康水準の低下など(間接的抑制)、長寿者向け社会保障制度の縮減など(政策的抑制)によって、「減少促進」もすでに始まっています。
以上のように、人口容量が飽和化した現代日本では、必然的に人口抑制装置が動き出しています。
一旦作動を開始した人口抑制装置は、人口容量に十分なゆとりが出てくるまで、決して止まることなく継続していきます。
もしこの動きを止めようとするのであれば、新たな文明によって人口容量を増やすか、あるいは1人当たりの人口容量、つまり広い意味での生活水準を落とすか、どちらの選択しかありません。
現代日本で人口を回復させていくには、どちらを選ぶべきなのでしょうか?
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