2025年4月27日日曜日

5大波動の成立構造を振り返る!

世界の人口推移5つの波動が生まれた背景を、言語や時代識知の変遷からおおまかに推測してきましたので、ひとまず全体の流れを整理しておきます。

石器前波から工業現波に至る、5つの波動の成立構造としては、基層言語、時代識知、主導文明、生産形態、生産集団などが、下表のように絡み合っています。

5つの成立動向を整理してみましょう。

基層言語の変化では、5万年前ころの深層言語の浸透、1万年前あたりの象徴言語の登場、5千年前ころから自然言語の普及、ほぼ3千年前からの思考言語の拡大、600700年前あたりからの観念言語の普及がおおまかに推定できます。

➁時代識知の形成過程は、BC5万年頃のマナイズムの浸透、BC9000年頃のアニミズムの普及、BC4000年頃のミソロジーの登場、AD500年前後からのリリジョンの拡大、AD1500年頃のサイエンスの登場が推定されます。

➂文明の転換は、BC5万年頃の旧石器文明の登場、BC9000年頃からの新石器文明の拡大、BC3500年頃の粗放農業文明の登場、AD400年頃からの集約農業文明への転換、AD1500年頃からの工業文明の進展がほぼ推定できます。

➃主導生産の進展は、BC5万年頃からからの狩猟・採集の拡大、BC1万年頃からの狩猟、漁撈、初期農耕への移行、BC4000年頃からの農耕、牧畜への進展、AD300400年頃の農産・畜産の集中的生産方式への移行、AD1400年頃の工業生産の登場へと移行しています。

➄社会集団の形成では、BC5万年頃からの血縁・地縁集団の浸透、BC1万年頃の血縁・地縁集団、村落住民の登場、BC4000年頃からの同族集団、地縁集団への拡大、AD300400年頃からの民族集団、広域集団、宗教国家の登場、AD1400年頃からの企業、組合や国民国家、資本主義・社会主義国家の登場などが概ね推定できます。

以上のような経緯は、人口波動の流れから推定したものです。

この仮説が通用するものかどうか、歴史的な事象によって、さらに確かめていきましょう。

2025年4月19日土曜日

観念言語とサイエンスが工業現波を創った!

農業後波を創ったリリジョンから工業現波を創ったサイエンスへ、時代識知の変換を促したのは「思考言語」から「観念言語」への移行でした。

観念言語(Ideological languageとは、人類が思考を行うために創り出した言語であり、筆者の別のブログ(生活学マーケティング)の【言語6階層説:観念言語とは・・・】では、次のように説明しています。

観念言語とは、「身分け」「識分け」「言分け」が捉えた事象を、「網分け」の“理知”によって精細に捉え直し、音声や記号などの創作言語で表現した言葉です。

この言葉は、専門的知識人や特定社会集団などの“理”縁共同体が、高度な思考するための記号として使われています。

観念言語によってサイエンス(Scienceが生み出され、蒸気機関や化石燃料などによるエネルギー革命の進展とともに、科学技術による生産拡大という工業文明(Industrial Civilizationが成立しました。

その構造的なプロセスを、改めて整理しておきましょう。

人類は「身分け」「識分け」が捉えた事象を、音声の「言分け」による「自然言語」によって意識内で考える「思考言語」を多用しているうち、「網分け」をさらに“深化“させた「観念言語」を創り出した。

➁観念言語の進展で、「リリジョン(宗教)」が捉えていた「至上神を中心とする神々が、あらゆる事象を統御している」という観念を越え、さまざまな記号の結びつきによって、あらゆる事象が把握できる、という識知が形成された。

15世紀以降、信仰による世界把握から「理知」による環境把握へ、リリジョンからサイエンスへの識知変化は、生活物資の生産形態を大きく変化させ、農産・畜産・漁業などを中心とする生産構造から、工業技術の主導する生産構造へと移行させた。

➃サイエンスの浸透で、それ以前のリリジョンを基盤とする社会集団(ツンフト:同職組合・ギルド、キリスト教国家、鎮護国家など)から、科学的思考を基盤とする社会集団へ移行が進むと、新たな経済組織(企業、組合など)や、近代的な国家組織(国民国家、資本主義国家、社会主義国家など)が形成された。

➄サイエンスの創り出した、新たな生産方式の拡大と、新たな社会制度の浸透によって、工業文明が形成され、より多くの人間が生きられる人口容量が形成された。

以上のようなプロセスによって、工業現波の人口容量、90億人が創り上げられたものと推察されます。

2025年4月4日金曜日

思考言語とリリジョンが農業後波を創った!

農業前波を創ったミソロジーから農業後波を創ったリリジョンへ、時代識知の変換を促したのは「自然言語」から「思考言語」への移行でした。

思考言語(Thinking languageとは、人類が通常、思考や会話を行っている言語であり、筆者の別のブログ(生活学マーケティング)の言語6階層説:思考言語とは・・・では、次のように説明しています。

思考言語は、共同体との交流を通じて個人の中に育まれた「自然言語」を、音声や記号によって自他の思考用に使用する言語です。

この言語によってリリジョン(Religionが生み出され、高度な集約的農耕・牧畜の生産形態が作られると、集約農業(Intensive Agriculture)という文明が成立しました。


その構造的なプロセスを、改めて整理しておきましょう。

➀人類は「身分け」「識分け」が捉えた事象を、音声の「言分け」で表現する「自然言語」で交信しているうち、言語を構成する単語と文法を使って意識内で問答する「思考言語」を形成した。

➁思考言語によって、ミソロジーが捉えていた「神々」、つまり「環境世界で動いている、さまざまなモノには、意志や感情を持つ人格がある」という観念がさらに発展し、「神々の中心には至上神が存在し、あらゆる事象を統御している」という「リリジョン(宗教)」が創造された。

➂リリジョンが浸透し、教義や儀礼など信仰を共有する集団が形成されてくると、それ以前の限定的集団(同族集団、地縁集団など)を超えて、より広く、より多様な広義的集団(民族集団、広域集団、国家集団など)が生まれることになった。これにより、生産組織、治世方式、国家体制など、新たな社会制度もまた形成されることとなった。

➃さまざまな神々の連立から神々を纏める統一神へ、ミソロジーからリリジョンへの変化は、食糧生産の形態をも大きく変化させた。狩猟、農耕、牧畜等の分散的生産を終了させ、麦や米、遊牧や家畜など、農産や畜産の中核的生産へ集中していった。

➄リリジョンの創り出した、新たな生産方式の拡大と、さまざまな社会制度の浸透によって、集約農業文明が形成され、より多くの人間が生きられる人口容量が形成された。

以上のようなプロセスによって、農業後波の人口容量、45000万人が創り上げられたものと推察されます。