オリジナリティー第5「修正ロジスティック曲線の提唱」の続きです。
前回提案した「加減式」を用いて、人口増減の推移をシミュレートしてみましょう。
従来提唱されてきた「ロジスティック方程式」によるシミュレート結果は、下図の上のような「ロジスティック曲線」になります。
これに対し、加減式を採用した「修正ロジスティック曲線」の一つは、上図の下に示したように、微かに増減を繰り返すグラフになります。
さらに加減式の係数αとβを変えてみると、下図のように山と谷がさらに大きく揺れるグラフとなります。
以上のように、人口容量が満杯となった後の人口の推移は、定常的な「ロジスティック曲線」ではなく、一定の容量の下で増減を繰り返す「修正ロジスティック曲線」となる可能性がかなり高いといえるでしょう。
人口減少が始まって、すでに10年。このまま減り続ければ、2100年には6千万人を割る。ほぼ200年間維持されてきた人口増加社会はもはや過去のもので、少なくとも今後の半世紀は人口減少社会となる。その影響はさまざまな分野に及ぶが、とりわけ私たちのライフスタイルは大きく変わる。・・・以下はhttp://gsk.o.oo7.jp/insist18.html
オリジナリティーの第5は「修正ロジスティック曲線」の提唱です。
生物の個体数は「ロジスティック曲線」を辿る、といわれてきました。【動物の個体数はロジスティック曲線をたどる?】(2015年2月2日)で説明したとおりです。
しかし、20世紀後半にさまざまな動物の実態がわかってくるにつれて、必ずしもそうとは限らず、上限に達した後は下降したり、増減を繰り返したり、しばらくして回復するなど、さまざまなケースが多々報告されるようになりました。
そこで、こうした動物行動学や個体群生態学の成果を踏まえ、筆者もまた個体数がロジスティック曲線から外れるケースを「変形ロジスティック曲線」という名称で捉えてはどうか、と提案しました(『人口波動で未來を読む』1996)。
但し、この言葉については、それ以降、幾つかの修正を加えてきました。
①「変形ロジスティック曲線」という名称については、やや違和感がありましたので、1997年より「修正ロジスティック曲線」に変えました(論文では『世界と人口』1997,3月号:家族計画協会、著作では『凝縮社会をどう生きるか』:NHKブックス:1998)。
②この曲線が生まれる背景については、「修正ロジスティック曲線の論理」として、出生数と死亡数の循環による、より詳しいモデルを提案しました(『日本人はどこまで減るか』:幻冬舎新書:2008)。その内容については、【「修正ロジスティック曲線」を提唱する!】(2015年2月9日)で一通り述べています。
以上の論理を数式化すると、人口容量(K)に対する、該当年の密度効果を「加減」で表す、次のような差分方程式が考えられます。
一般にはK対Pnの関係を乗除式でとらえて、微分方程式に変換されるケースが多いようです。
これらの修正によって、ロジスティック曲線は、さまざまに変形する「修正ロジスティック曲線」へと進展してきたといえるでしょう。