2017年4月25日火曜日

人口は回復しないのか?

新しい人口推計でも、日本の総人口は21世紀末まで減少を続けていきます。

出生数の回復や外国人の受け入れなど、さまざまな対応策が議論されていますが、果たして回復の可能性はあるのでしょうか

よりマクロな視点から考えてみると、すでに述べたように、2080年代からは回復の可能性が予想できます。

その基本的な論拠は次のようなものです。



①人口容量の壁に突き当った総人口は、修正ロジスティック線に沿って一旦は減少していく。

②それとともに、人口容量と人口の間には、次第に余裕が生まれくる

③この余裕が、総人口を支える個々の国民のゆとりにまで浸透していくと、出生率は上昇し死亡率は低下するから、総人口は再び増加してくる(詳細なプロセスについては、【
総期待値を2110年まで展望する !】:2015年6月30日を参照)。

④再増加し始めた総人口は、人口容量の上限まで再び伸びていく。

⑤人口容量の壁に突き当たると、またまた総人口は減少し始める。

⑥人口容量が拡大しない限り、総人口は容量の下で増減を繰り返す

⑦新しい文明によって人口容量が拡大されると、ようやく総人口は本格的に増加し始め、新容量の壁に突き当たるまで増加を続けていく。

このような視点に立てば、現在の人口容量(加工貿易文明×日本列島)の下でも、ある程度の回復が考えられ、容量の下で増減を繰り返ことが予想できます。

しかし、さらに継続的な増加を可能にするためには、新たな文明の創造によって、人口容量そのものを拡大しなければなりません。

2017年4月14日金曜日

新推計値を考える!

新しい人口予測(将来推計人口)が、4月10日、国立社会保障・人口問題研究所から公表されました。

最も可能性の高いと推計される「中位値」では、2053年に1億人を割り、2100年に6000万人まで減っていきます。

一番高く推測された「高位値」では、2061年に1億人を割り、2100年に7400万人にまで減っていきます。

最も低く推測された「低位値」では、2047年に1億人を割り、2100年に4800万人にまで減っていきます。

いずれも減少傾向が続くことには変わりはありませんが、前回2012年の予測値より、かなり上向きとなっています


上記の3ケースとも、2100年時点で前回より1000万人ほど増加しています。

この理由として、同推計では、①30~40 歳代の出生率実績上昇を受けて、推計の前提となる合計特殊出生率を上昇させた、②平均寿命の伸び率が上昇した、という、2つをあげています。

これまで公表されてきた将来人口推計では、そのほとんどが前回分より下向きの数字となっていました。

今回の推計で前回より上向きとなった背景には、人口減少が始まって約10年、国民の選択が減少社会に適応した方向へと動き出した、という事実があるのかもしれません。

2017年4月2日日曜日

人口減少とどうつきあうか?

5度目の人口減少が始まって約10年、急激に変化する社会に、私たちはどのようにつきあっていけばいいのでしょうか。

人口回復の可能性については、少子化対策の強化や移民拡大政策の導入など、さまざまな対応案が提唱されていますが、それらの実現性や効果がどれほどのものなのか、明確な展望は未だ出されていません。

このブログでも、人口容量と人口抑制装置という視点から、こうした課題について幾度か触れてきましたので、これから改めて整理していきたいと思います。

基本的な展望として、このブログでは、人口回復の可能性を次の図のように想定しています。



 グラフの中の高・中・低位とは国立社会保障・人口問題研究所の予測値であり、新予測値とは、既存の予測値を基礎にしつつ、「国民の生活意識が人口減少に次第に対応してくる」という、筆者独自の予想を前提に、新たに予測したものです。
(詳細は「
人口減少社会の背景と展望 : 生活心理と消費行動のゆくえ」㈶統計研究会・内外経済情勢懇談会編「Ecoレポート」79号)

予測のプロセスは「
人口は再び増加する!」でも触れていますが、その大略は次のとおりです。

①2010年以降の人口予測値については、国立社会保障・人口問題研究所2012年推計の中から低位を基本にしています。

②2035~2100年については、人口容量に対する国民の「
総期待値」が2035年ころに1970年の水準に戻る想定し、その後の出生率と死亡率が2100年までに2035年の水準にまで回復するという仮説にたっています。

③以上の条件によると、今後の人口は2070年代に6660万人で底を打ち、2100年には7000万人台まで回復してきます。

この新予測値は、もし回復可能性があるとすれば、どのあたりにあるのかという、淡い期待に基づいています。

果たしてこれが実現できるのか、さまざまな側面から考察していきます。